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一夜限りの空間で生まれた、 絵と音と言葉で紡ぐ物語(開館10周年記念イベント『アート・ライブ・ラリー「夢十夜/100年たったら」』)

ブログ2025/08/14

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720日の夜、みんなの森 ぎふメディアコスモス開館10周年を記念し、『アート・ライブ・ラリー「夢十夜/100年たったら」』と題して、閉館後の図書館で一夜限りのライブパフォーマンスを開催しました。

「夢十夜」(夏目漱石)の第一夜、そして同作から触発されて生まれた絵本「100年たったら」(石井睦美・文/あべ弘士・絵)の幻想的で壮大な巡り合わせの物語を、絵・朗読・音楽の3組が互いにラリーしながら表現しました。

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今回はメディコス開館以降初めての試みとなる、閉館後の図書館で開催されるイベントでした。

普段は本とともに過ごす場所である図書館が、この夜は一変。
新井真允子さん、加藤誉使子さん、後藤譲さん、竹内裕紀さん、中島法晃さん、早川文彩さん、渡辺悠太さんの7名の画家や美術家によるライブペイントと、浅井彰子さんによる朗読、ミュージシャンISSEIさんによる音楽が絶妙に融合し、一つの大きな物語を紡ぎ上げるラリー形式のパフォーマンスは、図書館という空間を幻想的なアート空間へと変化させました。

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閉館後の図書館は、普段の開館中とはまるで違う魅力がありました。

静まり返った空間の中で、スポットライトに照らされたキャンバスが明るく浮かび上がり、音楽が流れ、朗読の声が響き、次々と絵を描いていくという、非日常の時間が流れていました。

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「こんな夢を見た」ではじまる不思議な物語と、愛する人との100年後の再会を描いた絵本の、静かでやさしい世界観が、音と絵と朗読で丁寧に表現されていきました。

参加者は、画家たちの筆の動きに注目し、朗読の言葉に耳を傾け、音楽に心を委ねていました。
出演者とともに、それぞれの表現が重なり合う一瞬一瞬の熱量を共有し、最後には大きな拍手があふれ、その後も会場全体が余韻に包まれていました。

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完成作品は、現在メディコス1階本の蔵で展示中です。
また、ライブ動画をメディコス公式YouTubeでもご覧いただけます。
こちらをクリック

夜の図書館でくり広げられた特別な一夜の世界観を、ぜひ映像や展示を通じて感じてみてください。
実際に会場で見た方も、映像で見た方も、改めてその絵と向き合ってみると、また新しい発見があるかもしれません。

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書架や図書の並ぶ静かな環境で行われるライブパフォーマンスは、普段の図書館利用とは異なる空間が印象的で、複合文化施設としてのメディコスの新たな可能性を感じさせるものでした。

今後もそんな風に、メディコスがもっと自由で、もっと楽しい空間になっていくといいなと思います。

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開館10周年記念イベント「みんなの座談会」を開催しました!

ブログ2025/09/03

みんなの森 ぎふメディアコスモス開館10周年記念イベントの企画として、2025年7月20日に「みんなの森の座談会」を1階ドキドキテラスで開催しました。これまでメディコスが歩んだ10年間の軌跡を、ゆかりのある4名のゲストと語り合うトークイベントです。

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登壇者は、左からメディコス開館時に岐阜市立図書館長を務めた吉成信夫さん、市民ラジオ「てにておラジオ」代表の浅井彰子さん、メディコス近くで子どもの居場所づくりに取り組む「一般社団法人ヒトノネ」代表の篠田花子さん、そして柴橋正直岐阜市長


岐阜大学医学部附属病院等が郊外に移転した跡地に、2015年7月18日に開館した「みんなの森 ぎふメディアコスモス」。2階の図書館と1階の市民活動交流センターなどで構成する複合文化施設として、多くの皆さんにご利用いただき、開館から10年経った現在も来館者数が増えています。

トークのスタートは、メディコスの開館時に岐阜市立図書館長を務めた吉成信夫さんから。
2階図書館の広大な空間をいかに活用するかが課題だったという吉成さん。「子どもの声は未来の声」という言葉を大切に、従来の図書館のイメージを覆す、おしゃべりも可能な図書館として運営が始まり、職員全員参加のワークショップで図書館のあり方を議論するなど、開かれた図書館を目指した活動を続けてこられました。

浅井さんからは、市民が発信するラジオとして館内での公開収録を続ける「てにておラジオ」についてお話いただきました。初めの数か月はラジオの電波に乗らない番組として公開収録の形式で発信していたそうですが、コミュニティFMの「FMわっち」と交渉の末、当時は全国的にもほとんど例が無かったという市民の声をお届けする番組として始まり、10年間放送が続けられています。また、てにておラジオには市立図書館主催の「子ども司書養成講座」を修了した子どもたちが話し手を務める「小さな司書のラジオ局」というコーナーもあり、図書館と連動した取り組みも毎月行われています。

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「小さな司書のラジオ局」で、"家出"をテーマに子どもたちが語った回を振り返る吉成さんと浅井さん


一般社団法人ヒトノネ代表の篠田さんからは、外から見えるメディコスの様子について伺いました。地域住民が講師となる子ども向けの体験プログラムを提供するなど、地域で子どもを育てる活動などに取り組んでいる篠田さんは、「子ども達の味方になる場所が一つ増えた」とメディコスの開館を表現しました。ヒトノネに集まる子ども達に「メディコスってどんな場所」と聞くと、本を読む場所ではなく「なんか色んなイベントをやってるから、遊べる場所」という答えが返ってくるとのこと。「メディコスを通して色んな人と対話したり、人と人が出会って何かが始まったりする場所として使っている感覚がある」と篠田さんは語ってくれました。
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これまでのメディコスの歩みを振り返ったあとには、この先のメディコスについても登壇者から多様な意見が交わされました。
「今までやっていないことにどんどんチャレンジして、トライ&エラーを繰り返すことで新たな全体像が描けると思う。」
「ハンディキャップを持った方がもっと気楽に来られる場所になってほしい。」
「メディコスが子ども達の心の原風景になれると良い」
など、メディコスの可能性に期待する声が飛び交いました。

最後には柴橋市長から、「これまで高めていただいたメディコスの価値をここだけに留めるのはもったいない。他の公共施設にも活かすなど、この先10年は第二のメディコスが生まれるようなチャレンジをしていきたい」と、未来に向けたメッセージを語りトークが締めくくられました。
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今回のトークイベントは、開館から10年を迎えたメディコスが市民の皆さんの「居心地の良い場所」であり続けるために、参加者と共に今後の方向性を見つめ直す機会になったのではないでしょうか。

この先10年も、多くの人々にメディコスの価値を高めていただけることを願っています。