「本de子育てカフェ~児童編~」を開催しました

  • 2017年11月16日

 2017年10月26日(木)に「本de子育てカフェ~児童編~」を開催しました。 「本de子育てカフェ」は子育てに奮闘中のみなさんのための図書館講座のシリーズです。9月には第1回「赤ちゃん編」(ブログ記事へとびます)を行いました。

 今回の「児童編」では、講師に小澤俊夫先生をお招きしました。 口承文芸の専門家である小澤先生は、「昔ばなし大学」を全国で開講し、昔話のあり方や子どもへの語り方を伝えるとともに、昔話の再話の指導も行っていらっしゃいます。お兄さんは世界的な指揮者の小澤征爾さん、次男はミュージシャンの小沢健二さん。昔ばなしの語りにも、音楽に通ずる要素がたくさんあります。 講座の開始前に館内をご覧になった小澤先生は、郷土資料コーナーで足をとめ、「古い薄い本の中に、地元の昔話が伝えられていたりするんだよ!ゆっくり見たいなぁ。」とお話してくださいました。

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 講座は具体的な昔話を例に挙げ、実際に語りをしていただきながら進みました。昔話の特徴や作品の解説から、子どもの成長とは何かという話題に踏み込んでいきます。 たとえば『灰かぶり』。「シンデレラ」のタイトルでもおなじみですが、グリム童話の灰かぶりは舞踏会へ3度行くということをご存知ですか。3度の繰り返しは昔話では定番。本来は耳で聞くものだからこその語り口です。灰かぶりが2度もお城から帰ってきてしまう理由を、小澤先生は「思春期の揺れ動く心を表している」と読み解きます。子どもは理由なく悪い自分と良い自分を振り子のように繰り返してしまうものなのだと言います。

 講座の最後は「生の声で子どもに話し、子どもの話を聞いてあげて。そのときは声に出して相づちをうってあげてほしい。子どもにかける声が、禁ずる・命ずる・叱る声だけではもったいない。」というお話で締められました。私の小澤先生の第一印象がまさに「とても丁寧に相づちをうって話を聞いてくださる方だな。話すととても安心するな。」というものだったので、この言葉にはとても納得しました。誰かと言葉をかわすとき、相手や自分の存在をより強く感じるような気がします。みなさんもぜひ子どもさんに素敵な声をたくさんかけてあげてください。

  今回の講座のテーマであった昔話と子どもの成長について、先生の著書の中でも触れられています。当館に所蔵がありますので、もっと詳しく知りたいという方や今回講座に参加できなかった方は手に取ってみてくださいね。

  今後の「本de子育てカフェ」は、来年2月に「中高生編」の開催を予定しています。詳細や申し込みについては順次お知らせページで案内します。ご期待ください。