カンチョーがさまざまなテーマについて語る人気企画「カンチョーと語ろう」。
第2回は岐阜新聞映画部員として連載を持つ"映画大好き"カンチョーが一目置く"映画好き"の岐阜市立女子短期大学学長・杉山寛行さんをゲストに迎え、「カンチョーとガクチョー」の映画トークです。 テーマは「男がさいごに泣く映画」。
「男が泣く」という言葉には、観ている自分が泣く、または物語の人物(男性)が泣く、どちらでもOK。
会場で「最後に泣く映画ベスト」を挙げてもらったところ、「シェーン」「秋刀魚の味」「ロッキー」「男はつらいよ」「アルマゲドン」「きみに読む物語」など40もの作品が出てきました。
ガクチョーは、「泣く映画」について傾向があると言います。昭和30年代の日本映画では男女ともによく泣くけれど、アメリカ映画は西部劇やミュージカルなど案外泣かない作品が多いとのこと。
マッチョな男性像が「強いアメリカ」の象徴として描かれることが多かったのですが、1960年代後半から「俺たちに明日はない」「卒業」など反体制運動やドラッグ問題などを採り上げ、「強いアメリカ」から「挫折」「弱さ」などを見せるようになります。
虚弱体質だったガクチョーは、この変化に「男は強くなくてもいいんだ」と安心したそうです。「映画は自分自身と比べたり近づけたりするもの」とカンチョーの言うように、作品の登場人物たちの姿は当時の世相だけでなく、観る人自身を鏡のように映すこともありますね。
カンチョーとガクチョーに触発され、客席からも当時の「映画館あるある」が飛び出しました。
岐阜市にも最盛期は映画館が12館あり、席に座るところがないほどに賑わい、通路に座って観ていたほど。今のような完全入替制ではなく、1つの作品を繰り返し上映していたので途中から入場したり、何度も繰り返し観たりしていました。金曜や土曜の夜はオールナイトで上映したり、「アラビアのロレンス」といった3時間超えの長編映画では途中に休憩時間があったことなど、昔の映画スタイルならではの懐かしい話があふれ出てきます。
ガクチョーは学生たちともよく映画の話をするそうですが、彼らは「ハッピーエンドでないと観たくない」と言うそうです。日本映画の方がよく男が泣くそうですが、その涙は最後に幸せにつながらないと、観ている自分も幸せになれないと不安に思うのかもしれませんね。
カンチョー、ガクチョー二人ともに映画は独りで観る派。奥様とデートで一緒に映画を観に行ったものの、選んだ作品が合わなかったのか見どころがすれ違い、良さがわかってもらえなかったそうです。以来、家庭の平和を守るために映画は独りで観ているそうです。(ちなみに奥様と観たのは、カンチョーは「19歳の地図」。ガクチョーは「鬼畜」でした)
大好きな映画の話のせいか客席との丁丁発止のやりとりも賑わい、時間を忘れてしまいそうになるほどでした。
次回の「カンチョーと語ろう」もお楽しみに!