第5回ぼくのわたしのショートショート発表会の発表作品が決定!

  • 2019年10月 2日

こんにちは。ぼくのわたしのショートショート発表会(通称ぼくわた)担当者です。

「ぼくわた」もついに第5回です。第1回に発表してくれた高校3年生は、もう立派な大人になっていることでしょう。その間事業の廃止もされず人事異動もせず、第5回を無事見届けることができそうで、当時の私には想像もできなかったことです。

第4回までは私がジャンプっ子だったからという理由で話を持ち込ませていただいた集英社さんにお世話になっていましたが、今年は朝井リョウさんの最新刊「どうしても生きてる」(10月10日発売)を発行する幻冬舎さんに間に入ってもらうことになりました。幻冬舎さんといえば槍を掲げてる人のマークでおなじみですよね。私はミステリーが好きなので幻冬舎ノベルズにはお世話になりました。

さて今年の「ぼくわた」は魂のこもった94もの作品が応募されました。これらバラエティ豊かで、アイデアと感性あふれる作品群から8つの作品を選考しなくてはなりません。去る9月25日、作品選考の打ち合わせのため東京渋谷区の幻冬舎さんにて朝井リョウさんに会いに行ってまいりました。自慢ではないですが図書館に勤務する私がネクタイを締めるのは冠婚葬祭以外ではこの日くらいのものです。家からネクタイをしていくと首が締まって精神的に窒息するので鞄にしまっていざ東京へ。

渋谷といえばハロウィンに若者が軽トラックをひっくり返したり、日本代表が勝つとにわかサッカーファンが暴れて警察のお世話になったりというイメージもあり少々緊張しましたが、私が降りた代々木駅のあたりはむしろ落ち着いた雰囲気のある町。道に迷いながらも映画「蜜蜂と遠雷」のポスターが貼られたビルを発見し無事幻冬舎さんにたどり着きました。

今回お持ちしたお土産は醤油です。ただしこれはただの醤油ではなく山川醸造さんの「焼鮎醤油」。長良川の伏流水を使用したたまり醤油に川漁師の平工顕太郎さんが漁獲した天然鮎を焼いて漬け込んであります。私自身はイチビキとかキッコーマンの普通の醤油しか使ったことがないので美味しいのかどうかは定かではないですが、我らが長良川が絡んでいるので美味しいに決まっています。直木賞作家にぴったり。編集者さんには福まる屋の「岐麩ラスク」をお持ちしました。ネーミングセンスが素敵なので多分美味しいです。

ご挨拶をすませたところで早速作品の選考にかかります。今年は意外と恋愛ものは少なめな印象。どちらかというとショートショートらしい起承転結のしっかりした作品が多かった気がします。本当にいろいろな楽しい作品があり、両親の夫婦喧嘩をたった一言で治めてしまう子どもの話だったりとか、カレーに合うのはどちらかを、らっきょ派と福神漬け派が言い争う作品なんていうのもありました。AIに仕事を奪われる男の作品もあり社会派近未来小説といったところでしょうか。朝井さんも気になった作品がいくつもあるようで、「ここの表現がすごい」「伏線がうまくはまってる」など意見が交わされます。素敵な作品が多くてなかなか絞り切るのがむつかしいようですが、朝井さんも編集者さんも終始笑顔でした。

そんな中で選ばれた作品がこちらです
「鳥」
「色彩動物」
「卵焼きの中」
「吾輩は鹿である」
「私の類義語」
「肉塊」
「羽のあるもの」
「私の嫌いな人」

どうです?タイトルだけでもなんだか気になってきませんか?気になる方はぜひ11月3日(日)開催の「ぼくのわたしのショートショート発表会」見に来てください!(要申し込み) →申込ページへ

なお、今回の応募作品の中に朝井リョウさん、および我々事務局への「果たし状」が紛れ込んでおりました。5年も連続で作品応募してきたというのに、市岐商デパートの開催日である11月3日に「ぼくわた」をぶつけてきたこと、絶対に許さないそうです。ごめんよ市立岐阜商業高校のみんな。陰ながら成功を祈っております。

この子に限らず毎年作品を送ってきてくれる中高生が何人かいます。噂ですが、応募しようと思って取りかかったけれど結局小説が形にならずに応募できなかったという子たちもいると聞きました。ショートショートとはいえ一本の小説を書くというのは本当に難しいことだと思います。選ばれなかったものも含めて今回送られてきた94作品は、作者自身を次の段階へと導く糧となることでしょう。

そんなことを思いながら打ち合わせを終えて資料をしまうと、鞄の隅に小さく折りたたまれたものを発見。ネクタイするの忘れとったわ...