2020年最初のおとなの夜学は、岐阜人にとって喉に引っかかる小骨のように気になる「名古屋」との関係と岐阜人の気質について、「岐阜は名古屋の植民地!?」の著者・松尾一(まつお いち)さんと、岐阜の街の達人・ブラトガシこと岐阜大学地域科学部学部長・富樫幸一(とがし こういち)さんが語り合いました。
博報堂が2014年に行った都道府県別ブランド力調査によると、岐阜県は外部評価は50%近くと高いけれど内部評価は約30%と低い結果でした。岐阜の人はあまり岐阜を好きでないのかしら? 県外出身のワタシは「?」を頭に乗せての夜学スタートです。
松尾さんは酒場や喫茶店などでの聞き取りを中心にした「内側から見た岐阜」を、富樫さんは大学の研究で集めたデータからの「外側から見た岐阜」を、交通・人柄・方言などいろんな角度から見えてきた岐阜の長所短所を紹介し、岐阜の「ほどほど」な気質が見えてきました。
岐阜市は名古屋・大阪などの都市圏に近く、水が美味しく金華山と長良川といった自然が身近にあるので、生活で困ることはない「ぬるま湯」な環境が岐阜人を「井の中の蛙」にし、「岐阜には何もない」と自己評価を低くしている要因ではないかとの分析には、思わず唸りました。身の丈にあう良い意味の「ほどほど」は、裏を返すと「発展性がない」悪い意味にもなります。
観光地や産業の振興をブランドとして売り出すのもいいけれど、経済に寄りすぎていいのでしょうか。地域にブランド志向が薄れフラットに見えてきている中、高校・大学生らが「地元をもっと知りたい」と自ら学ぶ動きが出てきています。生まれ育った土地の文化や歴史を教科書からだけでなく、土地の人や地元紙などから吸収することが、自分の存在への自信にもつながるアイデンティティを育み、岐阜人自らが岐阜の良さを周囲に広める宣伝マンになるのではないでしょうか。
誰かに話したくてウズウズする「愛する岐阜」をたっぷり吸収する時間となりました。