トークイベント「作家と語ろう」を開催しました!

  • 2023年7月28日

 7月15日から17日にかけてメディアコスモスで行われたゆったりカルチャー3days。その初日に、みんなのホールで、作家の万城目学さんを迎えてトークイベント「作家と語ろう」が開催されました。
 万城目さんは京都の大学を卒業後、会社員をしながら作品を執筆していましたが、26歳で作家1本で生きていけるようになることを目指して退職。作品を書いては出版社に持ち込んだり、賞に応募したりする生活が続いたそうです。
次に応募する作品でデビューできなければ再就職か、という思いで書いたのがあの、『鴨川ホルモー』。そして30歳の時、この『鴨川ホルモー』で作家デビューを果たすのです。万城目さんにとって作家デビューは、「テニスで言えば、相手がいることを想像しながら黙々と一人で壁打ちしていたら、突然壁を突き抜けて向こう側へボールが届くようになった感覚」なのだったと語られました。

 日常と非日常が重なりあいながら溶け込み、読んでいると不思議な感覚に陥る万城目さんの作品の数々。ユーモアたっぷりに軽やかな文体で書かれるファンタジックな作品たちは、背景や世界観を最初に緻密に作りこみ、実は『大真面目に』書いているんです、と万城目さん。
 デビュー当初は出版社の担当者に「おもしろくて笑っちゃいました~」と言われてムカッと来たこともあったそうですが、今ではこれが自分の武器、こういうふうにすると喜んでもらえるんだな、とご自身のテクニックを否定的には感じていない、と語ってくださいました。

 当日は万城目さんによる抱腹絶倒の質問コーナーがなんと1時間以上!『作家と語ろう』というイベント名のとおり、会場やZoomで観覧していたお客さんと十分に語り合ってくださった万城目さんでした。何度も会場からどっと笑いが起こった質問コーナーから、その一部をご紹介!

Q.執筆の日のルーティンは?
 本気を出すまでにゲームをやりつくし、サッカーを見て、ネットニュースを見まくって...世の中への興味が尽きてから「あーしんど」と思いながら書いています。ユーモラスな作風やから楽しそうに書いていると思われてるかもしれませんが、それは違いますね。ゲームは普段まったくやらないのに締め切り前になるとスイッチに手を伸ばしたくなります。

Q『ホルモー六景』のなかの『長持の恋』が好きです。女性の恋心の描写はどんな思いで書いているのですか?
 男だとか女だとか、特に区別はしないですね。その状況になった人はどうするか、何を感じ、どう動くかを考えて書いています。女性の心が敏感にわかるタイプではないので、的確に描けているとしたら、たまたまですかね(笑)

Q万城目さんの作品にしばしば登場する妙に人間くさい"神様"の存在について
 ほんとはテキトーなんですよ。明確な宗教観があるわけではないし、詳しくないからなんもわからない。ただ、関西では神社に"○○さん"とさん付けで呼ぶ文化があり、神社への親近感は昔からあるかもしれません。なんか、さん付けで呼ぶと一気に"近所のおっちゃん感"がでるんですよね。

 当日は次回作の裏話も話してくださいました。。新作は『鴨川ホルモー』以来17年ぶりの、京都を舞台にした〈おもしろおかしい青春系〉。三条大橋をバスに乗ってぼーっと渡っていたとき、「この窓の外に新選組が歩いていたら...」という考えが浮かびそこから発想を広げて書かれたそうです。終始笑いの絶えない、楽しいトークイベントになりました。ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!