おとなの夜学 第52夜「長良川アンデパンダンが岐阜に残したもの 岐阜で興った現代アートの系譜」を開催しました

  • 2025年1月21日

 第10期2回目の夜学を令和6年12月13日に開催しました。中部地域の戦後前衛美術やアートプロジェクト等の調査・研究をしている高橋さんと、アーティスト集団「幻想工房」結成し「場所」をキーワードにアート活動する野村さんが、岐阜で芽吹いた前衛芸術の軌跡に注目します。

「アンデパンダン」(indépendant)とは「自主的な、自立した、独立した」意のフランス語。アートの世界では無審査・無賞で誰でも参加できる展覧会を指し、保守・伝統的なサロンに対抗して開催された落選者展が起源といわれています。
 無審査なので出展者が「表現の自由」を体現できるということから、若者たちを中心に多くの美術グループが興り、昭和22(1947)年に日本ではじめて「日本アンデパンダン展」(日本美術会主催)が、その後「読売アンデパンダン展」(読売新聞社主催)も開かれました。しかし回を重ねるごとに作品が過激さを増し、収集がつかなくなり中止を余儀なくされます。

 これを機に東京中心だった展覧会を地方でも!という機運が高まり、岐阜では西尾一三、石原ミチオらが中心にVAVAという前衛芸術団体をつくり、「岐阜アンデパンダン」を自主展覧会として計画しました。
 VAVAのメンバーは医者や公務員などで構成されていたことからスポンサー集めや会場使用の交渉、参加者へのケアなどをメンバーが得意を活かしてマネジメントをしました。政治・経済・民衆と芸術と場所がそれぞれうまく融合できていたことからまさに「共存と受容の思考」が体現された展覧会だったと高橋さんは指摘しています。 
 全国から「無審査」で多くの参加者が集い、長良川河畔や金公園、市民センターなどを会場に思い思いの前衛芸術を体現し楽しむ姿がありました。

 保守が強いといわれる岐阜で前衛芸術の祭典が開催されていたこと、それをおおらかに見守る岐阜人の懐の深さは、いまも新しいことに挑戦しやすい土壌に受け継がれていることにうれしさを感じる夜でした。

 後日おとなの夜学ホームページにてイベントの様子を記録した動画がアップ予定です。気になる方はぜひ動画をチェックしてみてくださいね。
おとなの夜Youtubeページ(別のページに移動します)

yagaku_20241213_andepandan.jpeg