ブログ

おとなの夜学 第54夜「東海をめぐる発酵ツーリズム 尾張徳川家の誇り・知多半田の酒と長良川の鮎寿司」を開催しました

ブログ2025/03/29

おとなの夜学 第54夜「東海をめぐる発酵ツーリズム 尾張徳川家の誇り・知多半田の酒と長良川の鮎寿司」を開催しました

 第10期4回目の夜学を令和7年2月20日に開催しました。ここ数年、ヨーグルトや納豆といった発酵食品が注目を集め、メディアでもよく特集が組まれています。また、今年5月には東海3県地域の発酵文化を紹介する企画『発酵ツーリズム in 東海』が、ぎふメディアコスモスをメイン会場に開催予定です。今回は、東海地域の発酵文化について2人のエキスパートをゲストに招き、お話いただきました。

 赤野さんは食酢の歴史と、日本でどのようにお酢が使われてきたのかを製法や郷土料理から解説しました。お酢はお酒を酢酸発酵させた発酵食品なのをご存じでしたか? 江戸時代、知多半田の造り酒屋だったMizkanの初代・中埜又左衛門は、製造過程でできる酒粕を原料にした粕酢を製造し江戸で販売しました。当時は屋台のにぎりずしが大ブーム! 粕酢は江戸のすし文化を支える、なくてはならない食材となりました。
 おすしは土地に根付く郷土食でもあります。岐阜には「ねずし」「みょうがすし」「ほう葉すし」など独特の素材や作り方のすしが多くあります。しかし近年は生活様式の変化や後継者不足により消滅の危機に瀕しているそう。レシピを次世代へバトンをつなぎたいと赤野さんは言います。

 小倉さんは全国の様々なローカルの発酵文化を調査・体系化しています。東海のすしと酒の特徴について紹介してくださいました。関東と関西のアイダにある東海地域は、東西にはないニッチな味を狙って酒を造ってきました。日本酒は晩酌の酒、土地の味に合わせて酒の風味も異なります。愛知(澤田酒造)・三重(元坂酒造)・岐阜(達磨正宗)の3つの日本酒蔵それぞれの個性と特徴を例に、土地が醸す味覚・産業・文化がこのエリアならではの独特さを持つものの、各地の連携が弱いことがツーリズムの課題であると語ります。

 東海の味の特徴は甘味が強いこと。昔は限られた食材の中で甘味・酸味・うま味を重ねて「足し算」することが美味しくする方法だったのでは? と小倉さんは推測します。味のルーツを掘り下げ再解釈していくことは、今後の地域資源の再評価につながるのではないかと考えています。

 「発酵」を通じて風土が醸してきた食材、気候、文化、そして人と菌が織りなし育んできたつながりを、次の世代へつないでいく大切さを教えてくれた夜でした。

 イベントの様子を記録した動画がおとなの夜学ホームページから見られます。気になる方はぜひ動画をチェックしてみてくださいね。
おとなの夜学Youtubeページ(別のページに移動します)


一覧へ戻る