第6回トークセッション「ゆっくり、のんびり。ぎふで暮らそう。」を開催しました。

  • 2016年9月23日

9月16日(金)、第6回トークセッション「ゆっくり、のんびり。ぎふで暮らそう。」を開催しました。今回の対談のお相手はグラフィックデザイナーの田邊雅一さん。岐阜市出身のグラフィックデザイナーで、岐阜県美術館オープンポスター以来多数ポスターを制作されています。岐阜県文化顕彰、岐阜ふるさと文化賞を受賞されるなど、岐阜に大変ゆかりがある方で、長年岐阜を基盤に活動されてきました。デザイナーとして活動していく中で収集したデザインの資料を多数、岐阜市立図書館に寄贈いただいています。

第6回トークセッション①

 トークセッションは館長と田邊さんの出会いのエピソードからはじまり、田邊さんの作品の数々を解説していただきながら60年代後半から70年代当時の文化や時代背景についての思い出話を中心に、大変盛り上がりました。当時は時代の流れの中に「反逆」という言葉がキーワードとして色濃くあり、アートやデザインの世界でも常に変革していくこと、革新することが求められていたそうです。田邊さんは貧乏であったこと、学歴がなかったことなどご自身の境遇を振り返り、人と違うことを求めていかなければならない当時のグラフィックデザイナーの世界で、逆にそういった部分が大変プラスになったとおっしゃっておられました。
当時、時代の中心にあったのは東京、その中でも特に文化の解放区とされた新宿には多くの文化人が集まっていたそうです。田邊さんも金曜の夜に岐阜を発って東京へ向かい、週末は東京のさまざまな文化に触れ、また岐阜に戻って月曜日から仕事をする、という生活をされていましたが、岐阜を離れて東京へ活動拠点を移そうとしたことは一度もなかったそうです。田邊さんの、「言葉に力のある人とのコネクション、関係性があれば東京へ行かずとも地方から東京へ、世界へ発信をしていくことはできる」という言葉が印象的で、岐阜で生きるぴかっと光る存在にスポットを当てるこのトークセッションを通じて、岐阜でできることの可能性、また、岐阜にいるからこそできることを考えていくことの大切さについて改めて考えさせられたように思います。
トークセッションの後半はプロジェクターで田邊さんの作品を見せていただきながら制作時のエピソードなどをうかがい、パソコンがなかった時代に創意工夫でアートディレクションされてきたことなどをお話いただきました。ご自身が病気にかかり入院していた時に撮影したレントゲン写真が目に留まり、最終的にコラージュ作品を作ってしまったことなど、どのエピソードも大変興味深く、あっという間の1時間半でした。
参加者の方からも「先生の人柄が出ていて、とても興味深かった」「どんなところからもネタ(ヒント)を得るところに驚いた」との声をいただきました。
ご参加くださったみなさま、ありがとうございました!第6回トークセッション②