著者に会いたい ~シゲリカツヒコ編~ を開催しました!

  • 2016年11月 3日

10月23日(日)、みんなが会ってみたい作家をお呼びしてお話を聞く「著者に会いたい」を開催しました。第2回目となるゲストは岐阜県出身の絵本作家、シゲリカツヒコさん。聞き手は図書館長の吉成です。

イベントは著作の「カミナリこぞうがふってきた」、「ごじょうしゃありがとうございます」をご本人に読み聞かせしていただくところからスタート。スクリーンには絵本が大きく映し出されます。読み聞かせは初めてとのことでしたがとても迫力があり、参加者のみなさんも絵本の世界を楽しんでいました。
読み聞かせの次はシゲリさんが絵本以外で描いた絵を見せていただきます。西遊記をモチーフにした絵やカッパの絵、日常生活の中に一部の人にしか見えない不思議な生物が紛れ込んでいる絵など、20枚ほどの絵を見せていただきました。ファンタジーや妖怪の要素が入っていながら緻密に描かれた絵には不思議なリアリティがあり、独特の世界観に引き込まれます。

その後はいよいよ館長も含めたトークに入ります。
シゲリさんは幼少期から県内の飛騨市や揖斐郡、各務原などを転々としましたが、高校は市内にある加納高校の美術科に通っていたそうです。小さいころは漫画家を目指していて、模写をして同級生に見せていたことや人体のシルエットを描いて中を全部機械で埋める遊びをしていたことをお話ししていただきました。
その後東京にある専門学校に通い、卒業後はフリーのイラストレーターとして活動。AERAなどの雑誌や、医学書でイラストを描くお仕事をしていたそうです。一方で妖怪など自分が好きなものを描いた個展なども開催していたそうですが、それがなかなか直接仕事に結びついてくることはなかったとおっしゃっていました。そんな中、ある絵本作家の方から挿絵を描いてほしいと声をかけられ、絵本なら自分が好きな不思議な世界を描くことを仕事にできるのではと思ったことが、絵本作家になったきっかけだそうです。
また、シゲリさんが好きな本を3冊紹介していただきました。その中に「終わらない夜」が入っていることや、シゲリさんの絵のタッチから館長は「かようびのよる」という本を思いだしたとのことで、シゲリさんもこの本は大好きだそうです。20161103115004-deea1c03d6903251af6ddcaabc672a51f764b5d4.jpg

また、岐阜市街に来たのは20年ぶりだというシゲリさんが、パルコがなくなっていてびっくりしたことや、学生時代はロイヤル劇場などの映画館に通っていたことをお話しすると、参加者の皆さんも大きく頷き、親近感を持った様子でした。

 シゲリさんはイラストレーターのみの仕事をしていた頃、やはりメインは文章などにあり、ご自身の絵が入った雑誌や本の売り上げや評価はさほど気にならなかったそうです。
しかし絵本作家としてストーリーもイラストもすべて自分で手掛けるようになると、どのくらい売れているのか、どのような評価を受けているのかを意識するようになったこと、そしてそこがとても面白く感じているとお話されました。また、シゲリさんは読者の方の感想によってどんなものを描くかという方向を決めているそうで、いろいろな意見を見た中で今は「馬鹿馬鹿しいものを真面目に描くこと」を意識し、絵本を作っていることをお話しされました。著作の「ガスこうじょうききいっぱつ」は、特にその傾向が表れていると館長も感じたそうです。

今回のイベントはシゲリさんがどうして作家になったのか、どのような思いで本を作っているのか、直接お話しを聞くことができた貴重な時間になりました。
参加者の皆さんからも「読み聞かせが楽しかった。」「著者ご本人にお会いできて、絵本以外のイラストもたくさん見られて嬉しかった。」との声をいただき、楽しんでいただけたようです。シゲリさんも、特に読み聞かせをしてみたことは今後の絵本作りにとても役に立つと思うとおっしゃっていました。
これからもみなさんがお会いしたい作家さんをお呼びして、色々な話をお聞きしていきたいと思います。次回をお楽しみに!

<シゲリさんおすすめ本>
・『西風号の遭難』 クリス・ヴァン・オールズバーグ/著 河出書房新社
・『父さんの小さかったとき』 塩野米松/著 松岡達英/絵 福音館書店
・『終わらない夜』 セーラ・L・トムソン/作 ロブ・ゴンサルヴェルス/絵 ほるぷ出版

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