平成29年3月10日(金)、「ほん×まちトーク」を開催しました。
昨年10月より、金華地区の8つの店舗で「ぎふまちライブラリー」が始まっています。まちライブラリーとは、公設の図書館と違って一般のお店やお寺やカフェなど、まちかどに本棚を置いてみんなで共有する小さな私設図書館です。
本があって、人が集まる場所、本と読書の体験を共有できる場所。たくさんの本がある大きな図書館もいいけれど、そういった、本を通じて人がつながる場所をまちの中にたくさんつくりたい。そんな願いから、ぎふまちライブラリーは始まりました。
岐阜の街でまちライブラリーが始まって5か月。いま、店先で小さな図書館を展開してくださっている8つの店舗のうち、annon tea houseの西願将也さん、山本佐太郎商店の山本慎一郎さん、長崎屋本店の牧野浩之さん、cd shop songsの鬼頭黎樹さんの4名をゲストにお話をうかがい、まちライブラリーに対する思いを再確認しました。司会は当図書館の吉成館長です。
今回の「ほん×まちトーク」はannon tea houseの西願さんが入れてくださった紅茶と、山本佐太郎商店の山本さん、長崎屋本店の牧野さん、が用意してくださったかりんとうやビスケット、夏目漱石も食べたという味噌松風などをいただきながら、そしてcd shop songsの鬼頭さんが選んでくださった音楽をBGMにトークが展開しました。
まず、吉成館長からまちライブラリーを設置するにあたっての思いや、11月に実施した「カンチョーと行こう!ぶらりぎふまちライブラリー」のイベントをスライドと共に振り返るお話がありました。その後、まちライブラリーを取りまとめてくださっている山本佐太郎商店の山本さんより、どのようにして8つのお店の店主さんが集まり、いまのまちライブラリーの形ができていったのか、お話してくださいました。
本棚の設計者である伊東豊雄建築設計事務所の庵原さんも、どういった経緯で本棚の製作にかかわることになったのか、本棚をデザインされたときに大切にされた思いなどについてお話くださいました。
メディアコスモスができる前、その構想が明らかになると、「メディアコスモスができれば世界中から人が集まってくる。世界中から集まった人たちと岐阜の街をどうやってつなげていけばいいだろうか」と店主さんたちは考えていたそうです。そして、その"人と人をつなぐ手段"のひとつが、まちライブラリーでした。
また、庵原さんも、そんな店主さんたちの思いを受け、メディアコスモスを設計された伊東さんの、部屋の外と中の境界線をなくすようなデザインにも通じる、「店の外に置いても、中に置いてもしっくりくる本棚を」と今の本棚をデザインしてくださったそうです。
メディアコスモスに集まった人たちには、メディアコスモスだけでなく街に出て、お店をのぞいてほしい、図書館を通じて街と人がつながり、街を元気にしていきたい。
「図書館を図書館だけで終わらせない、という思いだった」という山本さんの言葉が心に残りました。
その後、それぞれのお店におかれている本棚の紹介は、4名のゲストに加え、残りの4つのお店の店主さんもそれぞれ、店主さん自らしてくださいました。通学路に面したお店だから、子どもたちに気軽に手に取ってほしくて子供向けの本もおいている、という長崎屋の牧野さんの話や、文章から音楽が聞こえてくる本ばかりを意識して集めたというcd shop songsの鬼頭さんの話、麩兵の川島さんはここにない本が読みたくなったらメディコスの図書館へ、という広がりを持たせたい。すべての人が本でつながっていけば、と語ってくださいました。自分の人生に影響を与えた一冊や学生時代に読んだ思い出の本、テレビで噂になっていた本、自分の趣味の本・・・どの本棚も個性的で、店主さんそれぞれの人柄や、ここまで辿ってこられた道がにじみ出ているようにも感じました。
まちライブラリーは今後どうなっていくのでしょうか。
本をきっかけに街と人をつなげていきたい、岐阜のいろいろなところに人と街をつなぐ本がある、そんなふうになればいいなと思っています。