7月26日、29日、31日、そして8月2日の4日間、第5期子ども司書養成講座が開催されました。『子ども司書養成講座』とは、子どもたちが図書館で働く人の仕事について学び、読書の素晴らしさを友達や家族に伝えられる、『本と人とを結ぶリーダー』になることを目的としてはじまりました。今年で5回目の開催となり、これまでに80名の子ども司書が誕生し、学校で、家庭で、そして図書館で活動しています。 この子ども司書養成講座は毎年大人気で、20名の募集枠に対して応募はなんと今年は過去最高の85名。たくさんの応募の中から厳正な抽選で選ばれた小学4年生から中学3年生までの20名が集まりました。今年も講師は、東海学院大学教授のアンドリュー・デュアー先生と岐阜市立図書館の吉成カンチョ―、そして司書さんたちです。
養成講座初日の朝は、まだみんなの顔も緊張して、ピリッと固い空気が流れています。これから4日間がどんなものになるのか、私たちもドキドキ、ワクワクしながらこの日を迎えました。
子ども司書養成講座では、利用者の求めている本を探すお手伝いをする「レファレンス」や「おはなし会での絵本の読み聞かせ」、「選書」や「本の修理」など多岐にわたる司書の仕事を、時にはワークショップや体験を通して習っていきます。楽しみながらも真剣な顔で修理や本の分類など、難しい体験にも取り組みました。 5期生のみんなを一言で表すなら、「元気!」。最初こそ固かったものの元気イッパイな20人は、相談したり助け合ったり楽しくおしゃべりしたりしながら4日間を過ごすうちに急速に距離を縮め、仲良くなっていきました。
また、岐阜市の子ども司書に求められるのは、『自分で考え、自分の言葉で伝える力』。たくさんの情報があふれる世界で、私たちは何が大切なのかを、選んでいかなければいけません。そして、考え、たしかめ、自分の言葉にしていく。本と人とを結ぶリーダーになるのに欠かせないこの力をつけるために、養成講座では、ブックトーク、絵本作り、ポップづくりなど、自分の考えを人に伝える練習、形にする練習もたくさんしました。 絵本作りの時間には、一からストーリーとコマ割りを考え、丁寧に下書きをして色を塗って・・・世界に1冊だけの自分の絵本を作りました。できあがった作品はしっかりと練りこまれたストーリー性のある作品だったり、あっと驚く仕掛けがついていたり、細部にまでひとりひとりのこだわりが垣間見えます。絵本やポップは最終日に会場に展示し、みんなで本屋さんで立ち読みをするように、見せ合いっこをして楽しみました。
最後に4日間のふりかえりをしてカンチョ-とデュアー先生から子ども司書認定書と認定カードを受け取り、5期生の子ども司書養成講座は終わりました。でも、カンチョ―も言っていたように、ここからが『始まり』です。これから、家庭で、学校で、そして小さな司書のラジオ局で、本と人とをつなぐ子ども司書としての彼らの活動が始まるのです。養成講座を通じてすっかり仲良くなった20人のメンバー。「新しい友達ができてうれしかった」「みんなとご飯を食べたり、本のことも、本のこと以外もたくさん話せて楽しかった」そんなことを語ってくれる子がたくさんいたのが印象に残りました。彼らは4日間で、「本」が人と人とを強くつなげてくれる可能性があるものだということを、身を持って実感したのではないでしょうか。そんな『本の力』を知る彼ら20人が加わって、これからどんなことが始まっていくのか、とても楽しみです。