日本文化の真髄も、岐阜和傘が無ければ成り立たない!? ~歌舞伎小道具の現場から語る、岐阜和傘の課題と可能性~

  • 2019年11月18日

 知らなかった岐阜を知る「みんなの図書館おとなの夜学」の第32回が、去る11月12日に行われました。
 今回のテーマは「和傘」。日本の和傘は7割近くが岐阜で作られており、コア部品の職人も岐阜にしかいません。歌舞伎などの伝統芸能の世界ではこの和傘が今でも大活躍しています。大歌舞伎の最前線で小道具のお仕事に従事しながら、小道具の工芸の継承に取り組む藤波小道具の近藤真理子さんをお招きし、歌舞伎の中の和傘のお話や、岐阜和傘の未来について語っていただきました。
 夜学の会場には様々な和傘が展示されました。三段階に開く和傘や骨組みだけの和傘など雨風どころか紫外線も防げなさそうな、実用性とは程遠い和傘もありましたが、歌舞伎の舞台ではこれらがとても美しく映えていて、こんな和傘の魅せ方もあるのかと衝撃。これら舞台で活躍している和傘も浅草の職人さんが引退してからは岐阜和傘が使われているのです。
 こんな岐阜和傘ですが最盛期の明治には年間1500万本生産されていたのが現在は約2500本程度。職人さんも減少の一途をたどり後継者の育成が大きな課題となっています。そこで岐阜市和傘振興会が始めたのが岐阜和傘部品職人の育成を支援するクラウドファンディング。素敵な特典もあるようなので、興味がある方は是非ご支援を。
 歌舞伎の世界は不勉強なのですが、市川海老蔵さんが来年5月に「団十郎」を襲名されるとのこと。その際には岐阜和傘も使われる見込みのようでこちらもたいへん楽しみです。美しくてかっこいい岐阜和傘の逆襲が始まりました。これからどんどん存在感を増していくことに期待しています。