10月29日(日)に第9回ぼくのわたしのショートショート発表会を行いました。中高生たちが自作のショートショート作品を朗読、作家の朝井リョウさんにコメントしていただこうというこの企画。今年は岐阜県外からの応募と岐阜県内からの応募が半分半分、「偶然の、奇跡的バランスだった」と朝井さん。全体を通して「選びたいな」と思う作品が多く、8作品の選考にとても苦労されたそうです。
発表会当日集まってすぐに、「みんなで自己紹介しませんか?」と提案してくれた子がいて、最初から和気あいあいとした楽しい空気感があった、発表者の8人。控室ではお菓子を食べながら自己紹介をしたりお互いの学校の話や本の話を楽しんでいました。それでも舞台袖に立つと並々ならぬ緊張感に心が折れそうになるほどドキドキが高まり、空気が張り詰めます。さらに発表会がすべて終わった後の朝井さんとの交流会でも朝井さんを前にしてまだまだほどけない固い雰囲気が、この日が彼らにとってどれだけ特別な1日なのかを物語っているような気がしました。
発表会での朝井さんのコメントで、「毎日を過ごしていると受け止めるのが苦しくなってしまう出来事もあるかもしれないし、99人が気にならないことが気になってしまうことがあるかもしれない。でも『言葉』があればそういう思いをくるんでくれることもあるし、苦しみから引き出してくれることもある。言葉は薬だと思うのでどうか、言葉をそうやって使ってほしいですね」というお話がありました。その場にいた、書くことで自分の心の内にあるものを表現をしようとする中高生たちすべての胸にこの言葉が届いていたらいいな、朝井さんのこの言葉を彼らが聞いて少しでも気持ちが楽になっていたらいいなと心から思いました。
開館当時から岐阜市立図書館で大切に開催してきたこの企画も、はや9回目。いまでは全国から腕に自信のある中高生世代からレベルの高い作品が多数送られてくるイベントに成長しました。「表現したい」という思いを持つ全国の中高生たちを応援する取り組みを、ここ岐阜から始めることができたこと、そして9年たった今も変わらず続けていられることをとてもうれしく思っています。これからもこの「ぼくのわたしのショートショート発表会」が中高生たちが切磋琢磨しあい、互いに刺激しあって彼らのうちにある思いを表現できる場でありたいと願っています。