今年度2回目となる本de子育てカフェを、11月25日(土)に児童編として開催しました。
今回講師にお招きしたのは、オノマトペ研究者として様々なメディアで大活躍中の、藤野良孝先生。講座では、「ざあざあ」「きらきら」など、私たちの身のまわりに溢れているオノマトペを声に出して読んでみることで、脳や体にどんな効果があるのかを教えていただけるとのこと。スタッフも、ワクワクしながら開始を待ちました。
開始時間が近づくと、会場には続々と参加者の方が。今回は、4歳~小学生のお子さまと保護者の方を対象としていましたが、おひとりで参加された方もいらっしゃいました。当日はメディアコスモスで別イベントがあったこともあり、お子さま連れのご家族が多く、ポスターや会場の中が気になる様子の方もたくさん見られました。また今回はなんと、参加してくれたお子さまに、藤野先生から小さな絵本のプレゼントが!お子さまたちは席についてからも熱心に絵本をながめていました。声に出して読んでくれている子もいましたよ。
講座は、ありがたいことに当日キャンセルの方もおらず、にぎやかにスタート。藤野先生の穏やかな雰囲気と優しい語り口調で、参加者の皆さまもリラックスされている様子でした。
スクリーンにはさっそく「音読が脳に与える効果」について脳の写真が映し出され、保護者の方々も真剣な表情で先生のお話に集中されていました。「のうがうんどうしているよ!」「おべんきょうがしやすくなるよ!」など、先生が子どもたちにも分かりやすい言葉でお話しされている姿が印象的でした。
オノマトペクイズと題して、犬が吠えている絵や花火が打ちあがっている絵を見て、どんなオノマトペがピッタリか当てるゲームでは、子どもたちから「わんわん!」「ドーンかな?」と声が上がります。先生は、会場の子どもたちにマイクを向けながらコミュニケーションを取られ、どんな回答にも「すごい!すばらしい!」と全力でほめてくださるので、子どもたちも恥ずかしそうな、嬉しそうな、どこか誇らしげな表情に。見ているこちらも笑顔になってしまう瞬間でした。
音読のポイントとして、「とにかく楽しむこと」「間違いは気にしない!」「うまく読めなくても大丈夫」「すべてを肯定しよう」と、大切なことを教えてくださいました。
特に印象に残ったのは、「マイナスことばは言い換えよう」という言葉。何か難しいことや不安なことに直面した時、「どうせ...」「でも...」「だって...」と、子どもだけでなく、大人の私たちでも、ついつい思ってしまうもの。そんな時は、「私はできる!」「きっとうまくいく!」「大丈夫だ!」など、ポジティブな言葉をうしろに付け加えてみよう、とのこと。声に出して、自分に言い聞かせてみることで、子どもたちにとっては最強の励ましに、保護者の方にとっても、前向きな気持ちになれる魔法のような言葉になるのではないでしょうか。
さて、講座も中盤に差し掛かると、夏目漱石や宮沢賢治、草野心平など日本の有名作家が生み出したお話や詩、短歌などを実際に音読してみる、実践コーナーへ。
手始めに、「にゃー」と言いながら前屈をすると、言わない時に比べて体が柔らかくなる、という実験を行いました。「にゃー」という言葉が持つ柔らかさが、声に出すことで体にまで影響するのだそう。席を立ってみんなで行い、子どもたちも気分転換になった様子でした。先生がさっそく会場の子どもたちを指名すると、勇敢にも壇上のマイクの前でしっかり音読してくれる子の姿が。緊張しながらも、おそるおそる前にでてきてくれる子もおり、会場のみんなで応援&拍手をしました。最初は恥ずかしがってなかなか席から離れられなかった子も、まわりのお友達に勇気をもらい、しっかりした声で発表する姿は、本当に素敵でかっこよかったです!
みんなが読んでくれた作品には、「じめじめ」「てくてく」「のそのそ」など、たくさんのオノマトペが登場しました。オノマトペが脳によく働きかけてくれるのは、その言葉ひとつに様々な意味・感情・イメージが隠されているからなんだそう。例えば、「ザーザー」という言葉からは、雨の勢い・激しさ・怖さ・冷たさなど、たくさんのイメージを受け取ることができますよね。そう考えると、オノマトペってとっても奥が深い!長年愛される名作にオノマトペがよく登場するのも、物語の世界をグンと広げてくれる、親しみやすい音だからなのかもしれません。
最後には、保護者の方向けに、スマホが脳に与える影響や家庭での音読の効果的な方法などを教えてくださり、メモを取られている方も大勢いらっしゃいました。便利なスマホが身近にある今、なかなか手放すことは難しいですが、一日の中で少しの間だけでも画面を離れ、お子さまと本を楽しむ時間を持つことができたら良いですよね。
ここで、ご参加いただいた方からのお声を少し紹介したいと思います。
・本を読むことが好きな子どもも、音読、オノマトペ、言葉(文字)に対する興味が深まったようです。
・おうちでもおんどくします。にゃーってやったときがたのしかったです。
・子どもが、学校で教えられていなくても、ネコのなき声、心臓の音、ニワトリ、など、音だけでもわかって
いたのがとてもすごいと思う。 などなど。
皆さんにとっても楽しいひとときになったようで、スタッフ一同も大変嬉しく思います!
藤野良孝先生、本当にありがとうございました。