新年に入り最初の開館日となる1月4日、「みんなの図書館 おとなの夜学」の第2回目を開催しました。「岐阜で育って世界で戦えるの?-長良川の育む感受性-」を開催しました。
通常は夜の開催になるのですが、今回は昼の開催です。
第2回のパネリストは岐阜を代表するアーティストのおふたり。
一人は東京芸術大学教授であり、また岐阜県美術館の館長も務められていて、海外でもその名が知られている日比野克彦さん。もう一人は新進の日本画家として今注目をされている神戸智行さん。
今回の対談の進行もORGANの蒲勇介さんが務めます。
映画「ロッキー」のテーマ曲が流れる中、蒲さんのアナウンスに導かれて会場に入るおふたり。まずはおふたりのトークから始まりました。
加納高校の先輩後輩の関係にあるためか、日比野さんの問いかけに神戸さんが答える、という形で話は進んでいきました。
最初は神戸さんの作品をスライドで見ながら、日比野さんが時々ツッコミを交えつつ作品に対する想いや、制作にあたって気にかけた点などを尋ね、神戸さんが答えていきます。
先輩に対して気を遣いながらも、自分の作品についての想いをはっきり伝える神戸さん。
神戸さんの作品は身近な自然をテーマにしているとのことで、長良川をイメージした絵なども紹介してくださいました。色鮮やかながらとても繊細な描写で、どこか懐かしさを感じるものがありました。
続いて日比野さんの作品をスライドで紹介していきます。
会場の反応が特に大きく印象的だったのが長良川に架かる忠節橋をモチーフにした展示。
日比野さんは長良川に架かる橋のうち、忠節橋がお気に入りだそうです。
長良川の源流から流れて大きくなり、展示スペースいっぱいに表現された川と、それに架かる橋の作品は、まさに岐阜を象徴する作品でした。
そして毎年長良川で開催されている「こよみのよぶね」の紹介もありました。
おふたりの作品とも、日比野さんがおっしゃった「長良川のDNA」が注ぎ込まれているようでした。
おふたりのトークが終わり、続いて行われたのがドローイング。
3×4メートルほどの特注の本美濃紙と大小さまざまな筆が用意されている中、その場で長良川の話をしたので川のイメージで、と打ち合わせし、本当に即興で作品を作ります。
筆を変え、墨の濃淡を変え、大きさを変え、自由に円を描いていき、ポタポタとこぼれた墨の跡も、見事に円になっています。
その円をどこに、どのように描くのか、おふたりが考える様は、まさに将棋や囲碁に見られる相手の手筋を読むのに近い感じです。
途中には神戸さんが用意した銀粉や金箔なども登場。出来上がった作品はいろいろな可能性を秘めたものになりました。上下がない作品なのでどこから見てもいいようにと、4カ所にサインを入れたところも、芸術家らしい自由さとこだわりを感じました。
参加者からは「新春にふさわしいイベントでした」「丸を描いてみたくなりました」「ライブ感がよかった」「岐阜が誇らしく思えた」といった感想をいただきました。
新年早々、ご参加いただきました皆さま、ありがとうございました。
第3回の「長良川鵜飼が天皇の鵜飼になった理由(わけ)-秘話かざりゑぼし-」は、2月26日(金)に開催します!