みんなとはだれのことなのだろう?
「みんなの森」と記されたシンボルマークをみなさんはご存じだろうか。
本をイメージしたシンプルなデザインといっしょにそう言葉が添えられている。
私はこの一年ずっと、「みんなの森」のみんなが意味するもののことを考えてきた。
みんなとは顔の見えない抽象的な記号のことではない。それはここにやって来るひとりひとりの私やあなたのことだ。
ちいさな子どもも、赤ちゃんやお母さんやお父さんも、おじいちゃんもおばあちゃんもいる。急いでいるひとも、のんびり一日過ごしているひとも。
ちょっぴりうれしそうな、ちょっぴり楽しそうなひとはすぐわかる。
でも、苦しそうなひとも、悲しそうなひともきっといるだろう。外側からではわからない。
いろんな理由があっても、ただ何となくでもいいのだけれど、いろんな考えやアイデアをもったいろんなひとがここに集まって来ることが大切なのだと私は思う。
いろいろいると誰かと誰かが出会うから。どこかで何かが始まるから。
それがここにいる私の実感であり、これからの希望でもある。
私はまだ見ぬあなたと出会いたい。
岐阜市立図書館 館長 吉成信夫