フォーラム「次世代型図書館 岐阜市立図書館の目指すカタチ」―滞在型図書館のこれから。複合から融合へ―を開催しました!

  • 2016年12月22日

 12月10日、フォーラム「次世代型図書館 岐阜市立図書館の目指すカタチ」がみんなの森ぎふメディアコスモスみんなのホールで開催されました。テーマは「滞在型図書館のこれから。複合から融合へ」ということで、全国で先駆的な取り組みをしている図書館が集まり、次世代型図書館のあり方について議論しました。
慶應義塾大学の糸賀 雅児氏をコーディネーターに、瀬戸内市民図書館長の嶋田 学氏、武蔵野プレイス館長の加藤 伸也氏、文筆家の猪谷 千香氏、そして岐阜市立図書館の吉成館長の4名がパネリストとして登壇しました。

 まず最初に、嶋田氏と加藤氏、そして吉成館長が事例発表ということで、それぞれの図書館の実態について発表しました。

 瀬戸内市民図書館のキーワードは「もちより・みつけ・わけあう」です。暮らしや仕事、また夢や未来を考える中で生まれた疑問や課題を「もちより」、その解決方法や展望を「みつけ」、そして、そうした気付きや発見を、図書館につどう市民と「わけあう」ことのできる、そんな「広場」を目指したいという思いから、頭文字をとって「もみわ広場」と名前が付けられました。もみわカフェでは食事をすることもでき、対話や交流、共有することを大切にする図書館の思いが随所に感じられます。また、もみわ広場にくる人それぞれに、自分の居場所をみつけてもらいたい、という思いから、静かに読書をしたい人のための「静寂読書室」、おしゃべりしたい人のための「チャットルーム」、瀬戸内市の文化と歴史を紹介する郷土資料スペース「せとうち発見の道」、eラーニングルームなどもあり、自分の「やりたいこと」に応じた使い方をすることができます。

 武蔵野プレイスは年齢も目的も異なる人が同じところに集まり、出会い、交流することに重点をおいた市民文化の創造拠点です。特に、青少年の居場所づくりに力を入れており、地下二階は青少年のためのオープンスペースや音楽スタジオなどがあります。

 当岐阜市立図書館も含め、3館それぞれ独特な取り組みを展開していますが、共通して、本の貸し借りという図書館の従来の機能にとどまらず、本を通じてつながった人がそれぞれの持っている知識や経験を共有しながら地域社会の活性化をしていく、さまざまな形で活動を支援するコミュニケーションの拠点として図書館をとらえていました。

 3館の事例発表の後は糸賀先生をコーディネーターに、猪谷さんも交えパネルディスカッションが展開されました。糸賀先生の研究によると、図書館により長く「滞在する」傾向があるのは10代と60代で、中でも10代は図書館の資料利用というよりは自分の資料を持ち込んでの勉強のための滞在という傾向が見られます。

 従来の図書館は10代の若者にとってはもしかすると使いづらい、居心地の悪い場所だったかもしれません。本来の資料提供の役割に加え、現在は居場所であったり、出会いの場であったりさまざまな顔を持つ図書館が求められています。家庭でもなく、学校や職場でもないサードプレイスとしての図書館は、地域の中でも特に「つながりやすい」場所といえます。ゆるやかなつながりを求めるひととひとを、どうつないでいくのか。人と人の間に、地域の図書館があることで、思わぬところで思わぬつながりができ、そこから広がっていく可能性はとても大きなものであるといえます。資料の貸借だけでなく、これからの図書館や、図書館の職員には、地域の中で「どうつなぐか」の技術が求められているように感じました。

 フォーラムの後にはささやかながら参加者どうしの交流会の場が設けられました。全国の図書館に携わる人たちがまずつながり、ともにこれからの図書館について考えていくことのきっかけになったのではと思います。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!