知らなかった岐阜を知る「みんなの図書館 おとなの夜学」。第8期1回目を2022年9月24日に行いました。
今回は「茶室水琴亭・淀君化粧の間で、原三渓の志に思いを馳せる ~近代産業と美の巨人が、岐阜に残した宝を拝見~」と題し、いつもの中央図書館を飛び出して米屋町の料亭「ぎふ水琴亭」が舞台となります。
テーマは「原三溪の軌跡をたどる」。ゲストは第35夜でも登壇いただいた林憲和さん。原三溪の持つ芸術への関心やぎふ水琴亭との関係について前半は座学形式で学び、後半は水琴亭の中を林さんのガイドで見学しました。
原三溪は明治改元直前の1868年に柳津町で生まれ、横浜の大財閥・原家へ婿入りし実業家の道を歩むかたわら芸術にも強い関心を寄せます。 幕末からあった水琴亭は原三溪お気に入りの料亭。昭和初期に伊奈波神社の境内から米屋町へ移築する時に原三溪は協力を惜しまず、金銭的な援助だけでなく、横浜の三溪園にある臨春閣を模した部屋をつくらせ、二階の「淀君化粧の間」(「三溪の間」)の壁画と襖絵を自ら描きました。
座学のあとは普段は入ることのできない2階に上がり三溪自筆の壁画と襖絵を間近に見ることができました。三溪の作品は彼と交流のあった横山大観や下村観山、小林古径や、安田靫彦らから琳派を継承するものとして高く評価されています。
本物の作品を目の前にして、その道の専門家からよもやまな講義を聞ける機会はとても貴重で、参加者の方々からも興奮が伝わってきました。