11月13日(水)、20日(水)、27日(水)に、朗読教室「前田幸子先生と楽しく朗読しよう!」を開催しました。講師の前田先生は、元岐阜放送のアナウンサーで、毎年、朗読教室を担当していただいています。
今回は、青山美智子さんの短編集『月曜日の抹茶カフェ』(宝島社刊)より、「抜け巻探し」を朗読しました。京都の「下鴨納涼古本まつり」が舞台のおはなしです。
はじめに全員で声に出して読み、話の概要が分かったところで、話の後半をメインに具体的に読み方を指導していただきました。朗読には間の取り方、アクセント、イントネーション、声の高さ低さ加減、読み方の緩急などテクニックは色々あるのですが、「上手く読もうとせず、心で読むことが大事」だと教えていただきました。
3回目は、4つのグループに分かれて、発表をしました。それぞれのグループの個性が出ていて、素晴らしかったです。3回の講座で、こんなに上達されるとは驚きでした。
終了後のアンケートには、先生が明るくて、指導もわかりやすく楽しかったという声が多かったです。そして、今回初めて青山美智子さんの作品を知って、この本を全編読んで、読書生活が広がったと書いてくださった方もいました。司書として、とても嬉しいお言葉をいただきました。
参加してくださった皆さん、前田先生、ありがとうございました。
12月1日(日)、まちライブラリアン養成講座の選書ワークショップ、「とある一冊の本」をシビックプライドライブラリーで開催しました。講師の市川さんは、2022年よりいままでなかった新しい選書サービス「とある一冊の本」をオンラインでスタートし、新聞・ラジオ・テレビなどのメディアにも多数取り上げられています。今回は普段、市川さんがオンラインでされている「名前だけを手掛かりにする選書」を参加者の皆さんと体験しました。今日という日に偶然同じワークショップに参加したみなさんは会場に入られてすぐ、まず自分の名前を手書きで小さなカードに書いていただきました。手書きには、文字や書き方にその「人」が出るのだと、市川さんは言います。
市川さんから一人ずつ、自分が選書をする方の名前が書いたカードを手渡され、本を選びに館内へ。相手の、生まれてからずっと一緒にいる「名前」だけを手掛かりに30分間で本を選びます。みなさん迷いながら何度も名前が書いたカードを眺めたり、名前の意味を調べてみたり。手に取った本とじっくり見比べながら選ぶことを楽しんでいるようでした。中央図書館の50万冊超の蔵書からなかなか「これ!」という一冊だけを見つけるのは難しかったようで、ほとんどの方が2冊、3冊と選んで戻ってこられました。
全員が戻ってきたところで、円になって「どうやって選んだ本なのか」を共有。
「名前の響きが優しくて暖かいイメージだったので...」
「雪→北海道→シマエナガと連想ゲームのように発想を広げて...」
「字体がカクカクしてまじめな感じ。きっとこの方はコツコツやってきたんだろうなと思った」
などそれぞれ選んだ本への思いを語られ、最後に選んだ相手に本を手渡します。一生懸命思いを巡らせ選んでもらった本を手にした参加者のみなさんのうれしそうな顔が心に残りました。
普段自分ではいかない棚の、新しい本との出会いを楽しまれた方、「自分の名前にそういう意味があったとは!」と驚かれる方、「気になっていた本だったんです!」と喜びをあふれさせる方など会場内には本と名前に引き寄せられた偶然の出会いを楽しんだ方々の静かな興奮が感じられました。本を通じてつながった縁に思いをはせた、濃い時間となりました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!
11月3日(日・祝)に開催した、「めざせ直木賞作家!ぼくのわたしのショートショート発表会」で8人の中高生が朗読した作品への、朝井リョウさん、中村航さんのコメントをご紹介します。お2人とのトークで、執筆の裏側や作品で意図していたところを聞くとますます作品が面白く感じました。
①永遠の二千秒
「1行目がすごくいい!で、3行目でガツンと来るよね。」と最初から熱のこもる中村さん。朝井さんいわく、「理系の香りがする」この作品、ショートショート作品としてのレベルが高く、今回トップバッターを預けたくなったそう。外から見たらたった2分間だけど、無限の世界。中村さんが選考の時から気になっていたタイトルの「2000秒」は1作品2000文字というショートショート発表会の作品規定になぞらえて付けられました。緻密に計算された作品には全体を通して説得力と恐怖のリアリティがあり、トークで明かされていく作品の秘密に鳥肌が立ちました。
②小春日和
まず「朗読激ウマ!」と朗読が終わるなり朝井さんが感嘆。読み進めるにつれ2段階の"びっくり"が待っているこの作品、「もう完全にびっくりして...えぇっっ!って...」と中村さんは読者としてこの作品の仕掛けに思わず声をあげられました。朗読の雰囲気もあいまって作品の世界観にグイグイ引き込まれました。「自分と離れたタイプの人をここまで解像度高く表現できるのは本当に才能」と朝井さんにほめられ、はにかむ姿が印象的でした。
③ミュージックミラー
この物語の結末は、読者の想像に委ねられています。書かれていない行間や結末の余韻に、なんともいやなことが起こりそうな予感があって胸がざわざわ。「応募作品にはホラーもたくさんあったけれど、こういうのは他になかった、嫌な予感を置いて終わるこの塩梅が好き」、と朝井さん。中村さんは行間あから読み取れる鏡と自意識の関係について考察を展開。作者が意図する以上の読み取りをしてもらえる、というのはいい作品だという証拠だと朝井さんも語られました。
④熊の彼氏
「「熊の彼氏」って、なんかいいよね、かわいいよね」、と中村さん。素朴な中にも可愛げがあり、ありえない話なのに読んでいるうちにこの世界のどこかにいるかもしれない、この物語のカップルを応援したい気持ちになってくるから不思議です。言葉の組み合わせが巧みで、朝井さんも中村さんも感心していました。送ってくれた3作品のどれもレベルが高く、彼の作品を選ぶかどうか、ではなく、3つのうちどの作品を選ぶか、でずいぶん悩んだそうです。
王道ショートショート作品で、レベルが高かったものが選ばれた前半4作に比べ、後半はバラエティ豊かでユニークな作品がつづきます。
⑤オオタニ
「1行目から、もうおもしろい。君、何を言っているんだい?という感じ。」と中村さん。2回、3回と読むごとにどんどん面白さが増し、読み終わるころには「オオタニ」という言葉が面白く感じるようになってしまっている。主人公がバカすぎてかわいい!と絶賛。実はこの作者の作品が選ばれるのは、今回で3回目。朝井さんも「言葉のセレクトのセンスが年々上がっているし、青春感の絶妙なバランスが素晴らしい、今年も彼を選んでしまった」と言っていました。
⑥りなちゃんの福祉作文
インタビュー形式で物語がすすんでいく作品。「インタビュアーの視点を使うことで変に明るく乗り切れる感じ、高いテンションでガンガン流していく感じがとてもいい」、と二人とも声を揃えました。作者の、振り切ったインタビュアーになりきった朗読もあいまっておもしろさに圧倒されました。自分でも制御不能になっちゃって、こんなこと書いていいのかなと思いながら書いた、と作者は言います。それに対して朝井さんが「こんなこと書いていいのかな」が書けるのが小説のいいところ。何でも書いていいのが小説なんです。と優しく返していたのが印象的でした。
⑦ある断熱材と話した日
このショートショート発表会の仕事の大きな喜びの一つに、「今まで読んだことのない文体に出会えること」だと朝井さん。この作品も、転生がテーマの作品があふれかえる昨今、「断熱材と入れ替わる」なんて「どういうこと!?なんで!?」とテンションがあがったそうです。こんにゃくやふとんや、断熱材...四角くてちょっとふわふわしたものが好きだというこの作品の作者。ほのぼのと終始笑顔でトークする3人の姿に会場もあたたかい空気感に包まれていました。
⑧イマジナリー公園散歩日記
詳細な情景描写に、「この人だけが持っている"執着"のようなものが輝いている」と朝井さん。中村さんも「公園の描写だけで2000字は普通は書けないし、苦も無くかけている感じが末恐ろしい...」とポツリ。「あなただけの"好き"が前面に際立つ才能は小説を書く上で本当に大切なギフトだ」、と優しく語り掛ける朝井さんの言葉が印象的でした。この作品に出てくる公園、岐阜駅近くの実在する公園だそうですよ。どこだかわかりますか?
選出された8作品は岐阜市立図書館ホームページで全編お読みいただくことができます。また、全作品が収録された作品集は図書館の蔵書としてどなたでもお読みいただけます。ぜひお楽しみください。
11月3日(日・祝)に第10回ぼくのわたしのショートショート発表会を行いました。中高生たちが自作のショートショート作品を朗読し、小説家の朝井リョウさんにコメントしていただこうというこの企画。今年は記念すべき10回目ということで、朝井さんと同じく岐阜県が誇る小説家の中村航さんもお招きし、おふたりと選ばれた8名の中高生たちがステージでトークを繰り広げました。
当日は232点の応募作から朝井さんと中村さんが「この作品を書いた人に会ってみたい!」と選んだ8人がメディアコスモスに集まりました。今年は朝井リョウさん自ら司会を務め開始5分前の影ナレーションから期待感が高まります。おふたりは同じ高校の先輩後輩で、朝井さんにとって人生で初めて会った小説家が中村航さんだったそうです。普段から親交のあるお2人ですが、イベント共演は初めてとのこと、今日の日を楽しみにされていました。
そして中高生の作品朗読が始まると、文章で読むのとはまた全然違った色を見せる物語に想像力がかきたてられます。緊張の面持ちでステージにあがった子どもたちは朗読が終わり緊張感から解放されると晴れ晴れとした笑顔が見られました。1作品目の朗読が終わってすぐ、中村航さんが「毎回このレベルなんですか?この大会は...!」と作品のクオリティの高さに驚きの声をポツリ。それに対して朝井さんが「そうなんですよ、このレベルなんです」と胸を張ってくださって、朝井さんと一緒にこの発表会を10回見届けてきた図書館としても、とても嬉しく誇らしく感じました。
どの作品にも、中村航さんは書き手としてのアドバイスやコメントだけでなくいち読者としての驚きや感激、作品に対する考察や疑問なども都度、素直に口に出してくださったのが印象的。朝井さんは司会として場を進めながらもひとりひとりの作者へ寄り添い暖かいことばをかけて励ましてくださっていて、おふたりと話しているうちにどの子もどんどん表情が明るくなっていきました。
イベント最後の質問コーナーで、なんと第4回のショートショート発表会で選ばれステージに立ち、そして別の作品のコンテストで中村さんに選ばれた経験もある方から質問をいただきました。現在は中学校で先生をされていて、今の中学生におふたりのたくさんの作品たちの中でどれを勧めたらいいか、の問いに中村航さんは『100回泣くこと』朝井リョウさんは『正欲』をあげ、「先生から勧められると「これがいいから読め!」と無理やりな感じが出るから学級文庫にそっと"置いとく"くらいがちょうどいいね」、とおっしゃったのが心に残っています。このステージで自分の思いを作品にこめた経験のある、かつて中高生だった人が今、中学生に言葉を伝える仕事をされていて、朝井さんから受け取ったバトンを次の世代の子どもたちに渡す役割を担っている、こんなドラマチックなことがあるのだな、10年続けるということはこういうことなのだなと胸が熱くなりました。
発表会が終わった後は朝井さん、中村さんと発表した8人との交流会。お茶とお菓子を楽しみながらのゆるい雰囲気の中にも、ここで何かを得て帰ろうとする前のめりの姿勢で質問する子どもたちの姿が見られ、熱量のこもった充実した時間となりました。
ご来場いただき、子どもたちにエールを送ってくださったみなさま、ありがとうございました!
10月25日(金)に中央図書館で今年度2回目の茶話会を開催しました。
今回はボランティア8名が参加してくださいました。
前半は、職員しか入れない閉架書庫を見学しました。
2階や本の蔵とは違う様子にみなさん興味津々で、
本のことだけでなく施設や設備について質問が次々とありました。
後半は音声資料CDのジャケットを切りながらおしゃべりを楽しみました。
今回の参加者は全員が中央図書館での書架整理のボランティアなので、
日ごろの活動では一人一人が黙々と本の整理をしてくださっています。
このような機会に同じボランティア仲間と楽しい時間を過ごしていただければ、と思います。
また、活動中に気になっていることや提案も聞くことができ私たちにとっても
有意義なひとときとでした。
茶話会に参加してくださったみなさん、ありがとうございました。
今年度の茶話会はこれでおしまいですが、年度末に交流会を予定しています。
そちらへの参加もお待ちしています。
えほんフェスティバル2024を、10月27日(日)に開催しました。
今年のテーマは『うれしい!たのしい!とくべつなひ』。
いつもとはひと味違う、特別感のあるたのしいおはなし会と、自分で好きなように飾り付けをして、世界にひとつだけのオリジナル冠を作るワークショップを行いました。
おはなし会では、えほんフェスティバルのためだけに用意された演目を行いました。大迫力の「大型紙芝居」や、会場のみなさんが参加しながら一緒に楽しめる「エプロンシアター」は、初めて目にする方もいらっしゃったのではないでしょうか。
問いかけのあるおはなしでは、子どもたちが恥ずかしそうながらも声を出してくれたので、楽しい雰囲気の素敵なおはなし会となりました。赤ちゃんと一緒にご参加くださった方からは、「こんなにゆったり最後まで見ることができたのは、初めてです」とお声がけいただきました。みなさんに特別なおはなし会を楽しんでいただけたようで、とても嬉しいです!
ぜひ、図書館で定期的に行っているおはなし会にもお越しください。
ワークショップでは、開始時間前から「ここでなにをするの?」「はやくやりたい!」と声をかけてくれる子どもたちもいて、みなさんのワクワクしている様子が伝わってきました。
ワークショップは時間を分けて計3回行いましたが、うち2回は満員御礼に!たくさんの子どもたちが制限時間ぎりぎりまで飾り付けにこだわって、各々素敵な冠をつくってくれました。ごきょうだいやお友達と一緒に参加してくれた子の姿も見えましたよ。
にゃんこカートのにゃん吉とわんこカートのきららも、今日は特別におめかしをして冠をかぶっていたので、参加者のみなさんも出来上がった冠をかぶって、一緒に記念撮影をしてくださいました。
みなさんの思い出の一日を作るお手伝いができたなら、とても嬉しく思います!
今回のイベントにご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!岐阜市立中央図書館では、毎年秋に"えほんフェスティバル"と題したイベントを行っています。
来年も、みなさまのお越しをお待ちしております。
岐阜市がモデルのテレビアニメ『小市民シリーズ』が7月から9月にかけ、放送されていました。『小市民シリーズ』は岐阜出身の作家、米澤穂信さん原作の小説で、"小市民"として生きていくため互恵関係を結んだ小鳩くんと小佐内さんのコンビが日常で出会う謎を解いていく物語。アニメ化された『春期限定いちごタルト事件』と『夏期限定トロピカルパフェ事件』を見ていると、岐阜市内の風景がたくさんでてきてとっても嬉しくなりました。
岐阜市全体で、このアニメ化を盛り上げようとこの夏から秋にかけて様々な動きがありました。ARのスタンプラリーなどにチャレンジした方もいらっしゃるのではないでしょうか。そして図書館でも司書が展示をしていますが、この作品をこよなく愛するぎふライブラリークラブ"TVアニメ『小市民シリーズ』を盛り上げよう会"が、作中に登場する場所と思われる場所をまとめた「聖地巡礼マップ」を作成しました。公式の聖地巡礼マップもありますが、それとは別にメンバーひとりひとりが思い入れのある『ここは載せたい!』と思う場所を自ら訪れて写真を撮り、コメント付きで作成したここにしかない手作りの聖地巡礼マップです。
「地元に住んでいても気が付かなかった風景をきれいに切り取ってくれたのが嬉しかった」
「今まで気にもしなかった風景がアニメでは心象風景として象徴的な使い方がされていた」
「ここが使われるんだ!という意外な場所が登場して驚いた!」など、アニメの話で熱く盛り上がりながら楽しんで作成しました。
メディアコスモス1階のまちライブラリー@メディコスに現在展示中!アニメの登場人物の等身大パネルの横に飾られています。暑い夏が終わり、さわやかな秋晴れが続いています。この秋は小市民シリーズの聖地巡礼、してみませんか。
岐阜市と一宮市は、市民サービスを向上し、両市の抱える課題を解決するとともに、濃尾地域の活性化を目指し連携していくことを令和5年11月20日に表明しました。連携の愛称を「NOBI(のーび)プロジェクト」と名付け、様々な分野で連携事業を進めています。
岐阜市立図書館では「子ども司書養成講座」、一宮市立図書館では「子ども司書講座」を毎年開催しています。そこで、図書館の連携事業としてお互いの子ども司書が作成したポップを交換展示していますのでぜひご覧ください!
一宮市立図書館では5階カウンター南側にて同じ期間に岐阜市立図書館の子ども司書が作成したポップを展示しています。
期 間: 令和6年10月8日(火)~20日(日)
場 所: 岐阜市立中央図書館 展示グローブ内
問合せ: 岐阜市立中央図書館 TEL/058-262-2924