知らなかった岐阜を知る「みんなの図書館 おとなの夜学」。第9期1回目を令和5年8月25日に開催しました。
明治から戦後にかけて岐阜のまちはどのようにつくられていったのか。景観の研究者である出村さんと、闇市を研究している石榑さんとともに、これからの岐阜について考えました。
はじめに出村さんから明治から戦前にかけての岐阜市中心部の成り立ちについて、お話を聞きました。当時の「公共事業」は行政主導ではなく、まちの有力者、いわゆる旦那衆が主導して行う、現代とは真逆の形が主流でした。ただ旦那衆の中でも、保守派や改革派など派閥間で対立が生まれたそう。こうした対立は、より良いまちにしていこうという中で生まれるものであり、現代においても、みんなで話し合いながらまちづくりをする過程に通じる重要なポイントである、と出村さんは言います。

続いて、今現在も現地でフィールドワークを続けている石榑さんから、その成果とともにハルピン街や闇市についてお話しいただきました。ハルピン街とは、第2次世界大戦後、岐阜市駅前に北満州からの引揚者が多く集まり開かれていた市場のこと。戦後の闇市に、北満州からの引揚者が多く流入したため、行政は中心市街地8か所に公認市場を設け、一帯がハルピン街と呼ばれるようになりました。昭和50年代頃、ハルピン街の人々は繊維業に集団転業し、人が多く集まる国鉄沿いに移動して現在の繊維問屋街へ繋がっていったそうです。

当時の暮らしや活動がわかる記録や写真から、人々は自分たちが住むまちをどのようにつくっていくか、まちづくりを自分事として考え、行動していたことが分かりました。現代においては行政が主導して行うまちづくりが主流となっていますが、「まち」は誰のものなのか、また、まちづくりとは何かについて、改めて考える機会となりました。
岐阜市立図書館恒例、子育て中の皆さんのためのイベント『本de子育てカフェ~中高生編~』が2023年8月5日(土)に開催されました。
今回の講師は3人の娘さんを育てながら育児漫画家・イラストレーターとして活躍されている高野優さん。イラストを描きながらお話をされるという独特の講演スタイルから、スタッフも楽しみにしていました♪
会場前の受付には高野さん直筆のウェルカムボードも設置し(なんと写真撮影OK!)通りすがりの来館者の目をも楽しませてくれました。ボードを見て興味を持たれた方の当日参加もありましたよ。

定刻となり黒いレースの着物姿で登場された高野さん。
ご挨拶と簡単な自己紹介をされた後、
「今日はどちらからいらっしゃいましたか?」
など、参加者との軽い雑談から講座は和やかにスタート。
参加者は予想通り岐阜にお住まいの方の参加が多かったのですが、県外からという高野ファンの方もいました。
そして、スタッフも少しびっくりしたのが親子での参加する方も数組いました。
このタイトルの講座に親子で参加なんてもうトリセツいらなくないですか?(笑)
いや、企画を立てた側としてはとーってもありがたいことなのですが。
高野さんが、手元の絵をスクリーンに投影する機材『書画カメラ』の前に座りいよいよ講座は本編へ。
ご自身の子育てを語りつつ、さらさらとお子さんたちの似顔絵を描いてゆきます。数本の線を付け足すと普通顔の娘さんがみるみる不機嫌に!プロってすごい!!
反抗期に突入したお子さんが『ウザい』『キモい』『ムリ』『ヤバい』の4単語で過ごしていたというお話ではうんうんとうなずく子育てママさんの姿もあり、常にイライラしていてドンドンと足音を立てたりドアをバタン!!と閉めたりの攻防戦では笑いが起こったりしました。
なかなか立つことができなかった2番目のお子さんのリハビリに付き添ったお話は心中を察するとこみあげるものもありました。
どのお話も高野さんの優しい語り口と可愛らしいイラストで分かりやすくまっすぐ響いてきます。そして、人の経験や想いを知ることで、自分の子育てを客観的に見る、子と同じ土俵に立たずに見守ることの大切さを見つめなおすきっかけとなりました。

受付時に参加の皆さんから募った講師への質問も交えつつ講座はさらに進みます。
ここで、気になる質問をいくつかご紹介。
Q.高野さんは講演で全国を周られていますがその間、お子さんはどうしていたのですか?
A.姉妹それぞれの友達の家に預かってもらい、どこに行くにも日帰りでした。子が高校生になってからは観光も楽しめるように。
Q.子育て期のママさんたちにアドバイスをお願いします。
A.もっと人に頼っていいよ!甘えていいよ!
Q.着物はよく着るのですか?
A.自分の中のマナーとして講演のときは着ています、洋服だと講演会場に通してもらえないこともあって。
Q.先生の漫画の色使いが好きです。描くときに気を付けていることや工夫、こだわりなどはありますか?
A.色使いを意識しているのでうれしいご意見です。好きなことを仕事にしているからと胡坐をかかないように心がけています。
子育てに関する質問もそうでないものも真摯に回答&アドバイスしてくださいました。
最後はご自身の幼少期のお話に。
幼少期は家庭の事情もあり地元の図書館が居場所だったとおっしゃる高野さん。本を読むだけでなく司書とのおしゃべりや
教えてもらった切り絵など、思い出がいっぱいの様子でした。
実は冒頭の雑談で
「一日中いたい素敵な図書館ですね!私の図書館ベスト3に間違いなく入ります!」
と、当館へお褒めの言葉もいただいていました。
館内をご覧になりながら幼少期を重ねられたようで、
「こんなサードプレイス(家でも学校でもない第3の場所)が子供時代にあったら毎日通っていたわ!こんな居場所があっていいな~。」
とも語られ、思春期の子育てとともに地域の図書館の必要性をも考えることができた有意義な時間となりました。
高野優さん、笑いあり・涙ありの素敵なお話をありがとうございました!

8月2日、4日に小学生を対象とした講座、「君の読みたい本はどこ?めざせ図書館マスター!」を開催しました。
みなさんは図書館ですぐにお目当ての本を見つけることができますか?「どこにあるんだろう?」「検索をしてみたけれど、レシートの見方が分からないな」と思ったことはありませんか?今回はそんな小学生の皆さんを対象に、図書館のことをよく知ってもらい、読みたい本を自分で探すことができる "図書館マスター" になってもらうための講座を開催しました。
毎年夏休みに開催しているこの講座ですが、今年も2日間で19人の小学生が参加してくれました。普段は『レファレンス』と呼ばれる調べもののお手伝いをしている司書から、図書館の使い方、本の調べ方の秘訣を学びました。

まずは、おはなしの部屋でテキストを用いてレシートの見方、背ラベルの意味、本がどうやって並んでいるのかを学びました。その後、本が並んでいる書架に出て、テキストの中に隠されていたレシートの本を探索しました。最初は戸惑い、迷っていた参加者のみなさんも、司書のサポートを受け、すぐに自力で本を探し出せるようになりました。本を発見するとすぐに次のレシートをもらい、次々と課題に挑戦する姿も見かけました。その後、おはなしの部屋に戻り、今度は分類についての講義を受けました。少し難しい内容でしたが、集中して講義に臨む姿が印象的でした。この講義が終わると、再び書架に戻ってクイズ問題に挑戦しました。今度は紙に書かれたキーワードの本がどこにあるのか、分類表と書架図を交互ににらめっこしながら背ラベルの番号を探し出します。そこから実際に棚へ行き、次々とクイズに回答して新たな問題に挑戦していました。

講座の終わりには「少し難しかったけど楽しかった!」「本が探せるようになって良かった!」「お母さんにも教えてあげたい!」など目をキラキラさせながら話してくれました。 "図書館マスター" たちが、これからも図書館を通してたくさんの本に出会い、人生を豊かにしてくれることを期待しています!参加してくださった皆さん、見守ってくださった保護者の皆様、ありがとうございました!
【図書館文学部 謎解きゲーム「探偵ウヤムヤの事件簿 File 3」の問題と解答を掲載します!】
こんにちは、岐阜市立図書館・分館です。
8月4日(金)から8月7日(月)まで、「図書館謎解きゲーム 探偵ウヤムヤの事件簿 File 3」を開催しました。暑い中、多くの方に参加していただき、ありがとうございました。
探偵ウヤムヤの助手として問題にチャレンジされた皆さん、いかがでしたか。問題と解答を掲載しますので、答え合わせや、別の問題にチャレンジして、楽しんでいただけたら嬉しいです。
①謎解き 問題・ヒント・解答用紙・解答
②探検コース 問題・ヒント・解答
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問い合せ:岐阜市立図書館 分館
岐阜市橋本町1-10-23 電話058-268-1061
7月15日から17日にかけてメディアコスモスで行われたゆったりカルチャー3days。その初日に、みんなのホールで、作家の万城目学さんを迎えてトークイベント「作家と語ろう」が開催されました。
万城目さんは京都の大学を卒業後、会社員をしながら作品を執筆していましたが、26歳で作家1本で生きていけるようになることを目指して退職。作品を書いては出版社に持ち込んだり、賞に応募したりする生活が続いたそうです。
次に応募する作品でデビューできなければ再就職か、という思いで書いたのがあの、『鴨川ホルモー』。そして30歳の時、この『鴨川ホルモー』で作家デビューを果たすのです。万城目さんにとって作家デビューは、「テニスで言えば、相手がいることを想像しながら黙々と一人で壁打ちしていたら、突然壁を突き抜けて向こう側へボールが届くようになった感覚」なのだったと語られました。
日常と非日常が重なりあいながら溶け込み、読んでいると不思議な感覚に陥る万城目さんの作品の数々。ユーモアたっぷりに軽やかな文体で書かれるファンタジックな作品たちは、背景や世界観を最初に緻密に作りこみ、実は『大真面目に』書いているんです、と万城目さん。
デビュー当初は出版社の担当者に「おもしろくて笑っちゃいました~」と言われてムカッと来たこともあったそうですが、今ではこれが自分の武器、こういうふうにすると喜んでもらえるんだな、とご自身のテクニックを否定的には感じていない、と語ってくださいました。
当日は万城目さんによる抱腹絶倒の質問コーナーがなんと1時間以上!『作家と語ろう』というイベント名のとおり、会場やZoomで観覧していたお客さんと十分に語り合ってくださった万城目さんでした。何度も会場からどっと笑いが起こった質問コーナーから、その一部をご紹介!
Q.執筆の日のルーティンは?
本気を出すまでにゲームをやりつくし、サッカーを見て、ネットニュースを見まくって...世の中への興味が尽きてから「あーしんど」と思いながら書いています。ユーモラスな作風やから楽しそうに書いていると思われてるかもしれませんが、それは違いますね。ゲームは普段まったくやらないのに締め切り前になるとスイッチに手を伸ばしたくなります。
Q『ホルモー六景』のなかの『長持の恋』が好きです。女性の恋心の描写はどんな思いで書いているのですか?
男だとか女だとか、特に区別はしないですね。その状況になった人はどうするか、何を感じ、どう動くかを考えて書いています。女性の心が敏感にわかるタイプではないので、的確に描けているとしたら、たまたまですかね(笑)
Q万城目さんの作品にしばしば登場する妙に人間くさい"神様"の存在について
ほんとはテキトーなんですよ。明確な宗教観があるわけではないし、詳しくないからなんもわからない。ただ、関西では神社に"○○さん"とさん付けで呼ぶ文化があり、神社への親近感は昔からあるかもしれません。なんか、さん付けで呼ぶと一気に"近所のおっちゃん感"がでるんですよね。
当日は次回作の裏話も話してくださいました。。新作は『鴨川ホルモー』以来17年ぶりの、京都を舞台にした〈おもしろおかしい青春系〉。三条大橋をバスに乗ってぼーっと渡っていたとき、「この窓の外に新選組が歩いていたら...」という考えが浮かびそこから発想を広げて書かれたそうです。終始笑いの絶えない、楽しいトークイベントになりました。ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!