ブログ - 2024年度ブログ一覧

おとなの夜学 出張講座「岐阜の宝物庫 護国之寺で出会う1000年の美術」を開催しました

ブログ2024/04/07

 知らなかった岐阜を知る「みんなの図書館 おとなの夜学」を令和6年3月日に開催しました。令和5年度最後のおとなの夜学は、図書館を飛び出して、岐阜市長良にある護国之寺(ごこくしじ)で開催し、住職の廣瀬良倫さんに護国之寺の由来から、お寺にまつわる貴重な品々について現物やレプリカとともに解説いただきました。

gokokushiji_01.jpg

 奈良時代に作られた国宝金銅獅子唐草文鉢には、聖武天皇が東大寺大仏を作る際に呼んだ腕の立つ仏師が、褒美に受け取った鉢を持ち帰り護国之寺を建てたという由来があります。
 本来ガラスケース越しでしか見られない貴重なお宝をレプリカでじっくりと見ることができました。鉢自体は半球形で、布を敷かないと自立しない形状になっており、間近でまじまじと見ながら参加者それぞれが感じた疑問を住職に答えていただく場面もみられました。

 他にも蓑虫山人の掛け軸(現物)なども紹介したいただきました。イベント終了後も今回紹介された品々を時間の許す限りじっくりと拝見させていただくことができ、ゆかりある場所で住職に解説いただくというとても贅沢な時間を過ごすことができました。

gokokushiji_02.jpg

 今回の会場である護国之寺は高台に建ち、岐阜城や長良川などが普段とは違った角度で楽しむことができる素敵な場所でした。参加されたみなさんも「こんな場所にお寺があったなんて」とイベント終了後に寺院内をゆったり散策するなど思い思いに楽しんでおられました。まさに「知らなかった岐阜を知る」というおとなの夜学の醍醐味を味わえた会になったのではないでしょうか。

 後日おとなの夜学ホームページにてイベントの様子を記録した動画がアップ予定です。気になる方はぜひ動画をチェックしてみてくださいね。
おとなの夜Youtubeページ(別のページに移動します)


『吉成信夫さんの話を聴いておこう』を開催しました!

ブログ2024/05/02

 4月20日(土)、シビックプライドライブラリーにて、ぎふライブラリークラブのイベント、「吉成信夫さんの話を聴いておこう」を開催しました。このイベントは、430日で退任するメディアコスモスの総合プロデューサーの吉成信夫さんの話をいま、聞いておきたい!というぎふライブラリークラブの会員さんからの熱い気持ちで立ち上がった企画です。

 イベントでは岐阜市立図書館の館長を5年間、そして総合プロデューサーとして4年間このメディアコスモスに関わってきた吉成さんがどんな思いでここにいたのか、お話をしていただきました。

話を聴いておこう1.jpg

 岐阜にゆかりのあったわけではなかった吉成さんが図書館長をすることになったのは3.11、東日本大震災を岩手で体験し、みんなが集まる場所の必要性を実感していたころ、たまたまFacebookで流れてきた岐阜市立図書館長の公募が目に留まったことがきっかけでした。

 2015年4月に赴任して7月にメディアコスモスがオープンするまで、この図書館をどうやったらワクワクする場所にできる?と司書と一緒に考え続けたこと。『子どもの声は未来の声』を、この図書館が大切にしていく言葉として掲げることを決めたこと。岐阜市立図書館を貸本屋ではなく、リビングルームのような、公園のような温度感のある場所にしたかったこと。『みんなの森』と冠のついたこのぎふメディアコスモスですが、『みんなの森』の"みんな"って誰なのかをずっと考えてきたこと。この日集まってくださった30人のお客さんが耳を傾ける中、今まであまりこういった公の場で語ってこなかったことを自分の言葉で伝えてくださいました。

 また、ひとりひとりが自立してつながりあう場を一緒に作っていきたい、わくわくできることを一緒にやりませんかという気持ちで始まったのがぎふライブラリークラブです。ぎふライブラリークラブは今までも市民の『こんなこと図書館でやってみたい!』を受けたくさんの企画を実現してきた、岐阜市立図書館ならではの取り組み。事業よりも先に"人"がある、と吉成さんは言います。担い手を育てていくことに力を注ぎたい、とぎふライブラリークラブをはじめ子ども司書の養成や心の叫びを聴け掲示板などにも力を入れてきました。館長、そしてプロデューサーとして務める中で『次の世代のために子どもたちのための居場所を用意したい』という気持ちがいつも一番のモチベーションだったそうです。今紡いでいる毎日は何年も先を見据えた種まきのようなものなのかもしれません。

話を聴いておこう2.jpg

 岐阜は新しいもの、良いものを受け入れてくことを躊躇しない良さ、変えていくことをいとわない良さがある、と吉成さんは言います。メディアコスモスの来館者数は、昨年度、開館8年目にして過去最多を記録しました。公共の施設としては開館して8年間経ってなお、増え続けることはあまりなく、たくさんの人が日々足を運んでくださることを嬉しく思います。イベントでは直接お客さんと言葉を交わし耳を傾け語り合う場面もあり、お客さんの言葉でこの図書館がオープンしてからたくさんの人に愛されてきたことをあらためて実感しました。

話を聴いておこう3.jpg

 吉成さんの退任後も変わらずに、ここにいることを多くの利用者の皆さんに楽しんでいただけるよう、"みんな"にとって居心地のいい図書館って、と考え続けたいと思います。今後ともよろしくお願いします。


第1回ボランティア茶話会を開催しました!

ブログ2024/06/20

図書館でボランティア活動をされている方々の交流会を6月8日(土)に開催しました。

今回は中央図書館の書架整理のボランティアさん6名と、飛び入りで資料修理のボランティアさん1名が参加してくださいました。

まず、自己紹介も兼ねて、おすすめ本を1冊ずつ紹介していただきました。図書館に集う人=本が好き(に違いない)、そして本きっかけで会話がうまれる(はず)ということでお願いしたのですが、少ない人数ながら多彩な本が紹介されました。多彩ながらも、「今の自分」が共感する本を紹介していただいたことがとても印象的でした。職員の紹介本も併せて、最後にご紹介しますので、みなさんもぜひ読んでみてください。

自己紹介の後は、昨年度に引き続き、リーディングトラッカー作りをしました。
作っていただいたリーディングトラッカーは、中央図書館2階フロアにある障がい者支援資料コーナーに設置し、配布します。ぜひ、覗きに来てください。

限られた時間ではありましたが、とても充実した1時間でした。
同じような活動をしていながらもなかなか会えないボランティア同士が話す機会を、今後も大事にしていきたいと思っています。

茶話会にご参加いただいたボランティアのみなさま、ありがとうございました!

今回紹介された本(カッコ内はお薦めポイント)
・北村薫/著『ひとがた流し』(この本だけは泣いた)
・高田郁/著「あきない世傳金と銀」シリーズ(協力して問題解決!)
・おかべたかし/文、山出高士/写真『目でみることば』(ことわざを写真で表現)
・坪内稔典/著『柿日和』(柿にも色々ある)
・さだまさし/著『やばい老人になろう やんちゃでちょうどいい』(こうありたい!)
・黒野史誌編集委員会/編『岐阜市黒野史誌』(歌手・中島みゆきのルーツが岐阜に!)
・野矢茂樹/文、植田真/絵 『はじめて考えるときのように』(「考える」とは)
・ふかわりょう/著『スマホを置いて旅したら』(私にはできないけど)
・田村セツコ/著『HAPPYおばさんのしあわせな暮らし方』(懐かしい)

ブログ用茶話会写真.JPG


子ども司書10期生誕生!

ブログ2024/08/07

 7月26日、27日、29日、31日の4日間、子ども司書養成講座を開催しました。今年で10回目になるこの講座、毎年大人気で定員を超える応募があり、抽選で選ばれた子どもたちが4日間を通して様々なことを体験しました。講師は大学で司書課程を教えるアンドリュー・デュアー先生、岐阜市立図書館の図書館長と、図書館で働く司書たちです。

 まずは館長と行く、図書館探検。図書館の表も裏も、館長に案内してもらいながら存分に味わいました。何度も図書館に来てくれている子どもたちも、知らなかったことがたくさんあったようで熱心にメモを取りながら話に聞き入る姿が印象的です。

 IMG_4292.JPG

 4日間を通して、子どもたちは『おはなし会』、調べもののお手伝いをする『レファレンス』、壊れてしまった本の『修理』など、様々なやり方で司書の仕事を体験。どの体験でも積極的に質問したり、発言したりする元気いっぱいの10期生でした。
 また、知識を身に着けるだけでなく、感じたこと、考えたことを自分の言葉で表現できる本と人とをつなぐリーダーになることを目標にしている岐阜市立図書館の子ども司書。『ブックトーク』や『共読ワークショップ』では自分の思いを言葉で表現することにもチャレンジしました。そして講座の目玉のひとつである『絵本づくり』は子どもたちがひとりひとり、自分で考えたストーリーに絵と言葉を書き、色を塗って作った世界に一つだけの絵本です。今年は絵本ではなく紙芝居づくりに挑戦した子もいました。きれいな切り絵を貼った絵本、しりとりで構成された絵本、どの絵本も創意工夫が凝らされた見ごたえのある作品ばかり。子どもたちの作った絵本とPOPは岐阜市立図書館の展示グローブで展示していますので、ぜひ見てみて下さい。
 IMG_4281.JPGIMG_6825.JPG

 IMG_6876.JPGIMG_7226.JPG

 初日の自己紹介タイムではまだ知らない同士、顔を見合わせ様子を探り合うみんなの心臓の鼓動が聞こえてくるような緊張感が嘘のように、最終日には元気いっぱいに笑い合い、たくさんの言葉を交わして別れを名残惜しむ姿をみて、4日間このメンバーで楽しく過ごせたことをとても嬉しく思いました。

 岐阜市立図書館の子ども司書は、この4日間の講座を受けて終わりではありません。むしろここからがスタート。今回の講座期間中に1期生と4期生、二人の子ども司書が顔を出してくれました。講座を受けたときは小学校4年生だった1期生は、現在大学生に、4期生は高校生になっています。彼らが大学生や高校生になっても養成講座で出会った子と今でもつながり、いろいろな思いを共有していること、子ども司書としての活動が今の自分につながっていることを10期生に語ってくれました。彼女たちの言葉は大人の司書が語るどの言葉よりも実感のこもった言葉として子どもたちにも届いていたように感じ、10年続けてきた意味を感じました。今回新たに加わった10期生も、子ども司書であることを楽しみながら、活動を長く続けてくれると嬉しいです。
DSC_9315.JPG


子ども司書たちと塩尻市立図書館へ行ってきました!

ブログ2024/08/14

 8月3日、子ども司書22人と一緒に、長野県塩尻市にある塩尻市立図書館へ行ってきました。岐阜市立図書館と塩尻市立図書館は図書館同盟を締結し、さまざまな交流をこれまでも行ってきましたが、どちらも子ども司書の養成をしているということで今回の交流会が実現しました。出発は図書館が開館する前の早い時間でしたがお天気にも恵まれ、バスに乗り込んだ子どもたちは元気いっぱい!ゲームをしたり、おしゃべりしたり、お菓子を食べたり思い思いに時間を楽しみながら塩尻へ向かいました。

 塩尻市立図書館に到着すると、昨年度1年間岐阜市立図書館に人事交流で来ていた司書さんが待っていてくれて、子どもたちもラジオ作りを一緒にやっていたこともあり久しぶりの再会を喜んでいました。グループに分かれてご飯を食べた後は館長さんや司書さんの案内で塩尻市立図書館を見学。関連するテーマごとに、DVDCDも、小説も一緒に置いてある『混排』という方法で資料が置かれている様子や児童のエリアのかわいい展示、天井まで届くかという高い本棚にびっしりと本が詰まった閉架書庫にも興味津々。初めていく図書館の見学はとっても新鮮で刺激的でした。
塩尻3.jpg塩尻1.jpg
見学後は岐阜市立図書館の子ども司書と塩尻市立図書館の図書館マスターでビブリオトークを行いました。ビブリオトークは本を使ったコミュニケーションゲームで、持ち時間5分で自分のおススメ本の魅力を語ります。全員の発表が終わったら、投票をして、「一番読んでみたくなった1冊」を決めるのです。最初にお昼ご飯を食べたグループごとに予選を行い、そのあと予選を勝ち抜いた6人で決勝戦が行われました。決勝に残ったのは、なんと6人とも岐阜市の子ども司書。ビブリオトークのための原稿づくりの時間などはなく、ほとんどの子はぶっつけ本番でその時感じていることを言葉にして発表してくれましたが、どの本も読んでみたい!と思わせる発表でラジオ作りを通して「自分の言葉で語る」ことを普段からしている子ども司書のみんなの『言葉の力』に驚かされた時間となりました。
塩尻2.jpg塩尻4.jpg

楽しい時間はあっという間。ビブリオトークが終わるとバスに乗り込み帰路につきました。「ビブリオトークで読んでみたい本がたくさん増えた!」「人生で一番長く感じた3分だった...」「利用者のことを考えた資料の置き方がいいなと思った」帰りのバスで聴かせてくれた、みんなの感想を嬉しく思いました。短い時間でしたがたくさんの刺激を受け元気いっぱいメディコスに帰ってくることができました。今回の塩尻市立図書館への旅の様子は、「小さな司書のラジオ局」で子どもたちが報告します!
塩尻5.jpg


「君が知りたい謎を解き明かそう!ようこそ図書館探偵団へ」を開催しました。

ブログ2024/08/18

 8月2日、7日に小学生を対象とした講座、「君が知りたい謎を解き明かそう!ようこそ図書館探偵団へ」を開催しました。

 いつも不思議に思っていることがある。あんなこと、こんなことが知りたい。皆さんにも"知りたいこと"がありますよね。図書館の司書はそんな皆さんの「知りたい!」をお手伝いする"レファレンス"を行っています。今回はレファレンスのプロである司書たちが"図書館探偵"に扮し、知りたいけど上手く調べられない小学生の探偵見習いに調べもののコツを伝授しました。
図書館探偵団1.jpg

 会場に集まった探偵見習いたち2日間で19人。まずは講師役の図書館探偵から図書館での本の探し方を学びました。本を探す為の機械である"OPAC"の使い方も習得し、探偵見習いたちも調べものをする為の資料を自分で集められるようになりました。

 次に集めた資料から目的の情報を探し出す方法を学びます。図書館探偵からの挑戦状、「シロイルカは子どもの頃は何色」にも適切な資料を使って回答を導き出すことができました。調べもののコツをつかんだ探偵見習いたちは、難しい挑戦状にも次々と挑み、あっという間に答えを見つけ出してしまいました。
図書館探偵団2.jpg
 講座の終わりに"図書館探偵シール"を受け取った探偵見習いたちは、誇らしげにそのシールを探偵マニュアルに貼っていました。講座を受講して "図書館探偵"になった彼らが、これからも図書館を通してたくさんの本に出会い、多くの疑問を解決してくれることを期待しています!参加してくださった皆さん、見守ってくださった保護者の皆様、ありがとうございました!




小松子ども司書クラブがやってきた!

ブログ2024/09/17

 9月7日(土)小松子ども司書クラブのみんなが岐阜市立図書館へ来てくれました。小松子ども司書クラブは、石川県小松市立図書館で子ども司書養成講座を受け、子ども司書として活動している小中学生によるグループです。昨年は岐阜市の子どもたちが小松市へ訪問して図書館の見学と子ども司書同士の交流を行いましたが、今年は小松市のみんなが岐阜へ来てラジオ作りをはじめさまざまな活動をしている子ども司書たちと一緒に交流会を行いました。

 当日一足早く集合していた岐阜の子ども司書のみんな。どうやってお迎えしようか...自分たちで考え、『ようこそ』のウエルカムボードを作成したり入り口に置いたホワイトボードにイラストをたくさん描き、楽しい雰囲気で小松のみんなを迎えることができました。小松子ども司書クラブが到着後、グループにわかれてまずはお昼ご飯を食べました。まだまだ表情が硬い小松の子に対して岐阜市のみんながそれぞれ持ち寄ったお菓子をどんどん開けて配り、「うちらの企画会議いつもお菓子パーティーなんです~」と、いつもと変わらない岐阜市の子ども司書のみんなのゆるい雰囲気が場を温めてくれました。おかしのパワーは偉大ですね。
昼食後は館内の見学。2グル-プにわかれて児童のエリア、YAエリアや川舟型読書スペース、岐阜城が見える金華山テラスなど岐阜ならではのエリアを中心に案内しました。YAの心の叫び掲示板では一緒になって貼りだされている投稿を読む姿が印象的。談話のへやの黒板展示は作成にかかわった子たちが一緒に説明してくれたり、本の蔵のここのくぼんでいる場所が落ち着くんです!とお気に入りの場所での過ごし方を熱く語ってくれたりして、岐阜市の子ども司書それぞれが、小松のみんなへ『わたしの図書館』を語ってくれたことがとても嬉しかったです。
小松①.jpg 小松②.jpg

見学が終わると展示づくりとラジオ作りのチームにわかれてグル-プごとに作業しながら交流会を行いました。ラジオ作りチームは「小松ってどんなところ?」「小松子ども司書クラブの活動について」「岐阜市立図書館を見学した感想」の3つを岐阜市の子ども司書が小松のみんなへインタビュー!小松のみんながしっかり話す内容を準備をしてきてくれて初めてとは思えない堂々としたトークで驚かされました。岐阜市のみんなも今回のような事前録音は初めてでしたがしっかりリードしてくれて無事、原稿づくりから録音までできました。今回録音した内容は10月第1週のFMわっちで聴くことができます。
小松④.jpg

展示チームは中央図書館見学をした中で小松子ども司書クラブのみんなが驚いたことや疑問に思ったところ、すごい!と感心したところなど心が動いた場所を紹介する展示を作りました。こちらも添えるイラストを一緒に書いたりコメントを順番に書き合ったりと一緒になって作業しながら短い時間でたくさん作ってくれました。それぞれのこだわりが詰まったにぎやかな展示になりそうです。近日中に展示グローブに展示しますのでお楽しみに!
小松③.jpg

小松子ども司書クラブでは館内のBGMづくりやショート動画づくりなど岐阜市とはまた違った活動を多岐にわたって行っているようです。岐阜市のみんなも今回聞いた話に刺激を受け、こんなことやってみたい!が広がってくれたらいいなと思いました。来てくれた小松子ども司書クラブのみなさん、ありがとうございました!


令和6年度 地域よみきかせボランティア育成講座を開催しました!

ブログ2024/09/24

 915日(日)、「地域よみきかせボランティア育成講座 ~明日につながる読み聞かせ~」が開催されました。
今回の講師としてお招きしたのは、犬山市で「犬山どんぐり文庫」を主宰していらっしゃる、古川よし子さん。
「犬山どんぐり文庫」は古川さんがご自宅を開放し1992年に始められた会員制の図書館で、たくさんの子どもたちへの読み聞かせや貸出を行っていらっしゃいます。およそ100人の子どもたちが登録しており、読み聞かせは毎回7080名ほどが参加する盛況ぶり。2018年には子どもの読書活動への長年の貢献を認められ、文部科学大臣表彰を受けられました。小学校や保育園でも読み聞かせを行うなど、子どもたちと絵本をつなぐ活動を精力的に行っていらっしゃいます。

 今回はそんな古川さんに、古川さんの読み聞かせの原点や子育て、絵本の選び方、ボランティアをするうえでの大切なことなどを教えていただきました。古川さんの子育て体験なども交えたお話に笑いもこぼれる和やかな雰囲気の中、受講された皆様は真剣な様子でメモをとり、お話に聞き入っていました。「上手に読もうとするよりも、良い本を選ぶことが大事」とお話された古川さん。年齢に合っていること、長年読みつがれた絵本であること、物語の主人公に心が揺さぶれるものであること...。選書のポイントについても語ってくださいました。

「美しい日本語で書かれたものを選ぶこと、それが子どもの心に落ちて芽吹く」というお話や、「読んでもらう本の内容より親と一緒にいられる時間が、子どもにとって大切なものになる」といった、心に残るお言葉をたくさんいただいた講座でした。古川さん、素敵な時間をありがとうございました。
地域よみボラ ブログ用01.jpg  地域よみボラ ブログ用02.jpg


おとなの夜学 出張講座「おとなの夜学 "通過儀礼"としての柳ケ瀬」を開催しました

ブログ2024/10/02

 知らなかった岐阜を知る「みんなの図書館 おとなの夜学」を令和6年9月14日に開催しました。今年度最初の夜学は、図書館を飛び出して岐阜市美殿町にある喫茶店FIELDで開催しました。

 美殿町は柳ケ瀬の東側に位置し、レンガの石畳とガス灯が今も健在の商店街。メイン通りから少し入ったところにある喫茶店FIELDは1984年に私設貸本喫茶としてこの地で創業。緑多い古民家に一歩入れば時の流れが緩やかな寛ぎの空間と、時代と共に人と街を見てきた多くの本が本棚に並びます。
 柳ケ瀬は美川憲一さんの「柳ケ瀬ブルース」など、昭和最盛期の岐阜の象徴として大きな主語で語られることが多いですが、今回は参加した多様な年代の方たちが語る「柳ケ瀬とわたし」という目線から柳ケ瀬の多面的な魅力(魔力?)を共有しました。会場には黄金時代を知る大先輩から20代までの幅広い方が集まりました。

 最盛期の1970年代は複数の映画館でオールナイト上映を見たり、自由書房と大衆書房の存在が「柳ケ瀬=都会」を印象づけていました。夜はスナックやキャバレーが多く『学校の通学路に柳ケ瀬があったので、普段とは違う大人の文化や世界を見られた』『職場以外のいろんなつながりを持てる場所』と多様な経済やサイクルに触れ経験できる一面が見えました。
 また『大人に叱られたのが新鮮だった』と、若者にさり気なく手助けしてくれる、いい意味でおせっかいなコミュニケーションがいまも健在なエピソードも出ました。
feld_022.jpg
 柳ケ瀬は『90%以上は『自分』が揺らがない人のお店』などキャラが濃く近寄りがたいものの、『昔の柳ケ瀬を知る人と、何の気なしに話せる』と、気さくな面も垣間見えます。あらゆることに柔軟な気質は、 岐阜人らしさの現れではないかな、と思いました。

 後日おとなの夜学ホームページにてイベントの様子を記録した動画がアップ予定です。気になる方はぜひ動画をチェックしてみてくださいね。
おとなの夜Youtubeページ(別のページに移動します)


速報!第10回ショートショート発表会選考作品は...

ブログ2024/10/08

 急に季節が進んだように朝晩肌寒さを感じるようになってきました。秋の気配を感じたら今年もそろそろ、岐阜市立図書館恒例イベント、「ショートショート発表会」の季節です。

 第10回 めざせ直木賞作家!ぼくのわたしのショートショート発表会。岐阜出身の直木賞作家、朝井リョウさんをお招きして中高生たちが舞台上で自作のショートショート作品を朗読する、という企画で開館からずっと続く岐阜市立図書館の毎年の人気企画となっています。今年は10回の節目ということもあり、朝井リョウさんと同じく岐阜県出身の小説家、中村航さんもご参加くださいます。

 今年の応募総数は過去最多の232作品が全国から届き、嬉しい悲鳴を上げていました。先日図書館の担当者と朝井リョウさん・中村航さんとの打ち合わせで、当日発表会で朗読される8作品の選考が行われました。

 今年選ばれた作品は、こちらの8作品!

 1.永遠の二千秒

 2.小春日和

 3.ミュージックミラー

 4.熊の彼氏

 5.オオタニ

 6.りなちゃんの福祉作文

 7.ある断熱材と話した日

 8.イマジナリー公園散歩日記

 今日お伝えできるのはタイトルだけです。どんな作品なのかは当日までお楽しみですが、「どんな作品なんだろう?」とワクワクしますね。朝井さんは毎年応募作品すべてに目を通されるのですが、選ばれるのは、王道の「ショートショート」と呼ばれる作風のモノや、精度が高く、整っている作品ばかりではありません。今回の選考作品に対して朝井さんや中村さんから何度も出たのは「この作品の作者に会ってみたい!」「この子聞きたいことがありすぎる!」という言葉。作品として平均点以上だとしても、「おもしろい!」という一行がなければ選ばないかもしれないし、逆にその一文があれば、それだけで選べるのだ、と朝井さんは言います。

 「どうしてこのテーマなんだろう」「ペンネームがまた最高で気になる!」真剣に話し合いながらも1つ、また1つと選考作品が決まるにつれて今年のショートショート発表会本番に向けてのワクワクが高まり、終始笑顔の絶えない選考会でした。選考会のあと、今回初めて参加くださる中村航さんから、「杓子定規じゃない"おもしろさ"がこの発表会のいいところなんですね」とポツリ。10年をかけ朝井さんが作ってくださった、この「ぼくわた」唯一無二のおもしろさを感じに、ぜひ当日は会場にお越しください。

 発表会で朗読されると、文章を読むのとはまたちがった雰囲気をまとい、楽しめます。113日(日・祝)第10回ぼくのわたしのショートショート発表会はただいま会場観覧、Zoom観覧ともに申し込み受付中です。


一宮市立図書館の「子ども司書」が作成した大好きなおすすめ本のポップを展示しています。

ブログ2024/10/09

 岐阜市と一宮市は、市民サービスを向上し、両市の抱える課題を解決するとともに、濃尾地域の活性化を目指し連携していくことを令和51120日に表明しました。連携の愛称を「NOBI(のーび)プロジェクト」と名付け、様々な分野で連携事業を進めています。
 岐阜市立図書館では「子ども司書養成講座」、一宮市立図書館では「子ども司書講座」を毎年開催しています。そこで、図書館の連携事業としてお互いの子ども司書が作成したポップを交換展示していますのでぜひご覧ください!

一宮市立図書館では5階カウンター南側にて同じ期間に岐阜市立図書館の子ども司書が作成したポップを展示しています。

期 間: 令和6108日(火)~20日(日)
場 所: 岐阜市立中央図書館 展示グローブ内
問合せ: 岐阜市立中央図書館 TEL/058-262-2924

画像1.jpg


『小市民シリーズ』がアツい!

ブログ2024/10/17

 岐阜市がモデルのテレビアニメ『小市民シリーズ』が7月から9月にかけ、放送されていました。『小市民シリーズ』は岐阜出身の作家、米澤穂信さん原作の小説で、"小市民"として生きていくため互恵関係を結んだ小鳩くんと小佐内さんのコンビが日常で出会う謎を解いていく物語。アニメ化された『春期限定いちごタルト事件』と『夏期限定トロピカルパフェ事件』を見ていると、岐阜市内の風景がたくさんでてきてとっても嬉しくなりました。

 岐阜市全体で、このアニメ化を盛り上げようとこの夏から秋にかけて様々な動きがありました。ARのスタンプラリーなどにチャレンジした方もいらっしゃるのではないでしょうか。そして図書館でも司書が展示をしていますが、この作品をこよなく愛するぎふライブラリークラブ"TVアニメ『小市民シリーズ』を盛り上げよう会"が、作中に登場する場所と思われる場所をまとめた「聖地巡礼マップ」を作成しました。公式の聖地巡礼マップもありますが、それとは別にメンバーひとりひとりが思い入れのある『ここは載せたい!』と思う場所を自ら訪れて写真を撮り、コメント付きで作成したここにしかない手作りの聖地巡礼マップです。
小市民3.jpg

「地元に住んでいても気が付かなかった風景をきれいに切り取ってくれたのが嬉しかった」
「今まで気にもしなかった風景がアニメでは心象風景として象徴的な使い方がされていた」
「ここが使われるんだ!という意外な場所が登場して驚いた!」など、アニメの話で熱く盛り上がりながら楽しんで作成しました。
小市民1.jpg

メディアコスモス1階のまちライブラリー@メディコスに現在展示中!アニメの登場人物の等身大パネルの横に飾られています。暑い夏が終わり、さわやかな秋晴れが続いています。この秋は小市民シリーズの聖地巡礼、してみませんか。
小市民2.jpg


えほんフェスティバル2024を開催しました

ブログ2024/11/11

えほんフェスティバル2024を、1027日(日)に開催しました。

今年のテーマは『うれしい!たのしい!とくべつなひ』。

 いつもとはひと味違う、特別感のあるたのしいおはなし会と、自分で好きなように飾り付けをして、世界にひとつだけのオリジナル冠を作るワークショップを行いました。

 おはなし会では、えほんフェスティバルのためだけに用意された演目を行いました。大迫力の「大型紙芝居」や、会場のみなさんが参加しながら一緒に楽しめる「エプロンシアター」は、初めて目にする方もいらっしゃったのではないでしょうか。
問いかけのあるおはなしでは、子どもたちが恥ずかしそうながらも声を出してくれたので、楽しい雰囲気の素敵なおはなし会となりました。赤ちゃんと一緒にご参加くださった方からは、「こんなにゆったり最後まで見ることができたのは、初めてです」とお声がけいただきました。みなさんに特別なおはなし会を楽しんでいただけたようで、とても嬉しいです!

ぜひ、図書館で定期的に行っているおはなし会にもお越しください。
絵本フェス2024_ブログ使用写真①.JPG

 ワークショップでは、開始時間前から「ここでなにをするの?」「はやくやりたい!」と声をかけてくれる子どもたちもいて、みなさんのワクワクしている様子が伝わってきました。

 ワークショップは時間を分けて計3回行いましたが、うち2回は満員御礼に!たくさんの子どもたちが制限時間ぎりぎりまで飾り付けにこだわって、各々素敵な冠をつくってくれました。ごきょうだいやお友達と一緒に参加してくれた子の姿も見えましたよ。
 にゃんこカートのにゃん吉とわんこカートのきららも、今日は特別におめかしをして冠をかぶっていたので、参加者のみなさんも出来上がった冠をかぶって、一緒に記念撮影をしてくださいました。

みなさんの思い出の一日を作るお手伝いができたなら、とても嬉しく思います!

今回のイベントにご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!岐阜市立中央図書館では、毎年秋に"えほんフェスティバル"と題したイベントを行っています。

来年も、みなさまのお越しをお待ちしております。


絵本フェス2024_ブログ使用写真②.JPG


第2回ボランティア茶話会開催しました!

ブログ2024/11/12

10月25日(金)に中央図書館で今年度2回目の茶話会を開催しました。
今回はボランティア8名が参加してくださいました。

前半は、職員しか入れない閉架書庫を見学しました。
2階や本の蔵とは違う様子にみなさん興味津々で、
本のことだけでなく施設や設備について質問が次々とありました。

茶話会写真1.jpg












後半は音声資料CDのジャケットを切りながらおしゃべりを楽しみました。
今回の参加者は全員が中央図書館での書架整理のボランティアなので、
日ごろの活動では一人一人が黙々と本の整理をしてくださっています。
このような機会に同じボランティア仲間と楽しい時間を過ごしていただければ、と思います。

茶話会写真2.jpg










また、活動中に気になっていることや提案も聞くことができ私たちにとっても
有意義なひとときとでした。
茶話会に参加してくださったみなさん、ありがとうございました。
今年度の茶話会はこれでおしまいですが、年度末に交流会を予定しています。
そちらへの参加もお待ちしています。


第10回ショートショート発表会を開催しました。

ブログ2024/11/19

 11月3日(日・祝)に第10回ぼくのわたしのショートショート発表会を行いました。中高生たちが自作のショートショート作品を朗読し、小説家の朝井リョウさんにコメントしていただこうというこの企画。今年は記念すべき10回目ということで、朝井さんと同じく岐阜県が誇る小説家の中村航さんもお招きし、おふたりと選ばれた8名の中高生たちがステージでトークを繰り広げました。

 当日は232点の応募作から朝井さんと中村さんが「この作品を書いた人に会ってみたい!」と選んだ8人がメディアコスモスに集まりました。今年は朝井リョウさん自ら司会を務め開始5分前の影ナレーションから期待感が高まります。おふたりは同じ高校の先輩後輩で、朝井さんにとって人生で初めて会った小説家が中村航さんだったそうです。普段から親交のあるお2人ですが、イベント共演は初めてとのこと、今日の日を楽しみにされていました。
 
 そして中高生の作品朗読が始まると、文章で読むのとはまた全然違った色を見せる物語に想像力がかきたてられます。緊張の面持ちでステージにあがった子どもたちは朗読が終わり緊張感から解放されると晴れ晴れとした笑顔が見られました。1作品目の朗読が終わってすぐ、中村航さんが「毎回このレベルなんですか?この大会は...!」と作品のクオリティの高さに驚きの声をポツリ。それに対して朝井さんが「そうなんですよ、このレベルなんです」と胸を張ってくださって、朝井さんと一緒にこの発表会を10回見届けてきた図書館としても、とても嬉しく誇らしく感じました。
 どの作品にも、中村航さんは書き手としてのアドバイスやコメントだけでなくいち読者としての驚きや感激、作品に対する考察や疑問なども都度、素直に口に出してくださったのが印象的。朝井さんは司会として場を進めながらもひとりひとりの作者へ寄り添い暖かいことばをかけて励ましてくださっていて、おふたりと話しているうちにどの子もどんどん表情が明るくなっていきました。
ショートショート発表会2.jpg

 イベント最後の質問コーナーで、なんと第4回のショートショート発表会で選ばれステージに立ち、そして別の作品のコンテストで中村さんに選ばれた経験もある方から質問をいただきました。現在は中学校で先生をされていて、今の中学生におふたりのたくさんの作品たちの中でどれを勧めたらいいか、の問いに中村航さんは『100回泣くこと』朝井リョウさんは『正欲』をあげ、「先生から勧められると「これがいいから読め!」と無理やりな感じが出るから学級文庫にそっと"置いとく"くらいがちょうどいいね」、とおっしゃったのが心に残っています。このステージで自分の思いを作品にこめた経験のある、かつて中高生だった人が今、中学生に言葉を伝える仕事をされていて、朝井さんから受け取ったバトンを次の世代の子どもたちに渡す役割を担っている、こんなドラマチックなことがあるのだな、10年続けるということはこういうことなのだなと胸が熱くなりました。

 発表会が終わった後は朝井さん、中村さんと発表した8人との交流会。お茶とお菓子を楽しみながらのゆるい雰囲気の中にも、ここで何かを得て帰ろうとする前のめりの姿勢で質問する子どもたちの姿が見られ、熱量のこもった充実した時間となりました。

ご来場いただき、子どもたちにエールを送ってくださったみなさま、ありがとうございました!

ショートショート発表会1.jpg 


第10回ショートショート発表会 作家のお二人の選出作品に対するコメントをご紹介!

ブログ2024/11/21

 11月3日(日・祝)に開催した、「めざせ直木賞作家!ぼくのわたしのショートショート発表会」で8人の中高生が朗読した作品への、朝井リョウさん、中村航さんのコメントをご紹介します。お2人とのトークで、執筆の裏側や作品で意図していたところを聞くとますます作品が面白く感じました。

①永遠の二千秒
 「1行目がすごくいい!で、3行目でガツンと来るよね。」と最初から熱のこもる中村さん。朝井さんいわく、「理系の香りがする」この作品、ショートショート作品としてのレベルが高く、今回トップバッターを預けたくなったそう。外から見たらたった2分間だけど、無限の世界。中村さんが選考の時から気になっていたタイトルの「2000秒」は1作品2000文字というショートショート発表会の作品規定になぞらえて付けられました。緻密に計算された作品には全体を通して説得力と恐怖のリアリティがあり、トークで明かされていく作品の秘密に鳥肌が立ちました。

②小春日和
 まず「朗読激ウマ!」と朗読が終わるなり朝井さんが感嘆。読み進めるにつれ2段階の"びっくり"が待っているこの作品、「もう完全にびっくりして...えぇっっ!って...」と中村さんは読者としてこの作品の仕掛けに思わず声をあげられました。朗読の雰囲気もあいまって作品の世界観にグイグイ引き込まれました。「自分と離れたタイプの人をここまで解像度高く表現できるのは本当に才能」と朝井さんにほめられ、はにかむ姿が印象的でした。

③ミュージックミラー
 この物語の結末は、読者の想像に委ねられています。書かれていない行間や結末の余韻に、なんともいやなことが起こりそうな予感があって胸がざわざわ。「応募作品にはホラーもたくさんあったけれど、こういうのは他になかった、嫌な予感を置いて終わるこの塩梅が好き」、と朝井さん。中村さんは行間あから読み取れる鏡と自意識の関係について考察を展開。作者が意図する以上の読み取りをしてもらえる、というのはいい作品だという証拠だと朝井さんも語られました。

④熊の彼氏
 「「熊の彼氏」って、なんかいいよね、かわいいよね」、と中村さん。素朴な中にも可愛げがあり、ありえない話なのに読んでいるうちにこの世界のどこかにいるかもしれない、この物語のカップルを応援したい気持ちになってくるから不思議です。言葉の組み合わせが巧みで、朝井さんも中村さんも感心していました。送ってくれた3作品のどれもレベルが高く、彼の作品を選ぶかどうか、ではなく、3つのうちどの作品を選ぶか、でずいぶん悩んだそうです。

王道ショートショート作品で、レベルが高かったものが選ばれた前半4作に比べ、後半はバラエティ豊かでユニークな作品がつづきます。

⑤オオタニ
 「1行目から、もうおもしろい。君、何を言っているんだい?という感じ。」と中村さん。2回、3回と読むごとにどんどん面白さが増し、読み終わるころには「オオタニ」という言葉が面白く感じるようになってしまっている。主人公がバカすぎてかわいい!と絶賛。実はこの作者の作品が選ばれるのは、今回で3回目。朝井さんも「言葉のセレクトのセンスが年々上がっているし、青春感の絶妙なバランスが素晴らしい、今年も彼を選んでしまった」と言っていました。

⑥りなちゃんの福祉作文
 インタビュー形式で物語がすすんでいく作品。「インタビュアーの視点を使うことで変に明るく乗り切れる感じ、高いテンションでガンガン流していく感じがとてもいい」、と二人とも声を揃えました。作者の、振り切ったインタビュアーになりきった朗読もあいまっておもしろさに圧倒されました。自分でも制御不能になっちゃって、こんなこと書いていいのかなと思いながら書いた、と作者は言います。それに対して朝井さんが「こんなこと書いていいのかな」が書けるのが小説のいいところ。何でも書いていいのが小説なんです。と優しく返していたのが印象的でした。

⑦ある断熱材と話した日
 このショートショート発表会の仕事の大きな喜びの一つに、「今まで読んだことのない文体に出会えること」だと朝井さん。この作品も、転生がテーマの作品があふれかえる昨今、「断熱材と入れ替わる」なんて「どういうこと!?なんで!?」とテンションがあがったそうです。こんにゃくやふとんや、断熱材...四角くてちょっとふわふわしたものが好きだというこの作品の作者。ほのぼのと終始笑顔でトークする3人の姿に会場もあたたかい空気感に包まれていました。

⑧イマジナリー公園散歩日記
 詳細な情景描写に、「この人だけが持っている"執着"のようなものが輝いている」と朝井さん。中村さんも「公園の描写だけで2000字は普通は書けないし、苦も無くかけている感じが末恐ろしい...」とポツリ。「あなただけの"好き"が前面に際立つ才能は小説を書く上で本当に大切なギフトだ」、と優しく語り掛ける朝井さんの言葉が印象的でした。この作品に出てくる公園、岐阜駅近くの実在する公園だそうですよ。どこだかわかりますか?

 選出された8作品は岐阜市立図書館ホームページで全編お読みいただくことができます。また、全作品が収録された作品集は図書館の蔵書としてどなたでもお読みいただけます。ぜひお楽しみください。


選書ワークショップ とある一冊の本

ブログ2024/12/10

 12月1日(日)、まちライブラリアン養成講座の選書ワークショップ、「とある一冊の本」をシビックプライドライブラリーで開催しました。講師の市川さんは、2022年よりいままでなかった新しい選書サービス「とある一冊の本」をオンラインでスタートし、新聞・ラジオ・テレビなどのメディアにも多数取り上げられています。今回は普段、市川さんがオンラインでされている「名前だけを手掛かりにする選書」を参加者の皆さんと体験しました。今日という日に偶然同じワークショップに参加したみなさんは会場に入られてすぐ、まず自分の名前を手書きで小さなカードに書いていただきました。手書きには、文字や書き方にその「人」が出るのだと、市川さんは言います。
選書1.jpg

 市川さんから一人ずつ、自分が選書をする方の名前が書いたカードを手渡され、本を選びに館内へ。相手の、生まれてからずっと一緒にいる「名前」だけを手掛かりに30分間で本を選びます。みなさん迷いながら何度も名前が書いたカードを眺めたり、名前の意味を調べてみたり。手に取った本とじっくり見比べながら選ぶことを楽しんでいるようでした。中央図書館の50万冊超の蔵書からなかなか「これ!」という一冊だけを見つけるのは難しかったようで、ほとんどの方が2冊、3冊と選んで戻ってこられました。

全員が戻ってきたところで、円になって「どうやって選んだ本なのか」を共有。
「名前の響きが優しくて暖かいイメージだったので...」
「雪→北海道→シマエナガと連想ゲームのように発想を広げて...」
「字体がカクカクしてまじめな感じ。きっとこの方はコツコツやってきたんだろうなと思った」

 などそれぞれ選んだ本への思いを語られ、最後に選んだ相手に本を手渡します。一生懸命思いを巡らせ選んでもらった本を手にした参加者のみなさんのうれしそうな顔が心に残りました。
選書2.jpg

 普段自分ではいかない棚の、新しい本との出会いを楽しまれた方、「自分の名前にそういう意味があったとは!」と驚かれる方、「気になっていた本だったんです!」と喜びをあふれさせる方など会場内には本と名前に引き寄せられた偶然の出会いを楽しんだ方々の静かな興奮が感じられました。本を通じてつながった縁に思いをはせた、濃い時間となりました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!




「前田幸子先生と楽しく朗読しよう」を開催しました。

ブログ2024/12/13

 11月13日(水)、20日(水)、27日(水)に、朗読教室「前田幸子先生と楽しく朗読しよう!」を開催しました。講師の前田先生は、元岐阜放送のアナウンサーで、毎年、朗読教室を担当していただいています。
朗読1.jpg

朗読2.jpg 

 今回は、青山美智子さんの短編集『月曜日の抹茶カフェ』(宝島社刊)より、「抜け巻探し」を朗読しました。京都の「下鴨納涼古本まつり」が舞台のおはなしです。

 はじめに全員で声に出して読み、話の概要が分かったところで、話の後半をメインに具体的に読み方を指導していただきました。朗読には間の取り方、アクセント、イントネーション、声の高さ低さ加減、読み方の緩急などテクニックは色々あるのですが、「上手く読もうとせず、心で読むことが大事」だと教えていただきました。

 3回目は、4つのグループに分かれて、発表をしました。それぞれのグループの個性が出ていて、素晴らしかったです。3回の講座で、こんなに上達されるとは驚きでした。
 終了後のアンケートには、先生が明るくて、指導もわかりやすく楽しかったという声が多かったです。そして、今回初めて青山美智子さんの作品を知って、この本を全編読んで、読書生活が広がったと書いてくださった方もいました。司書として、とても嬉しいお言葉をいただきました。

参加してくださった皆さん、前田先生、ありがとうございました。




「なみ悟朗さんと楽しく朗読しよう!」を開催しました。

ブログ2025/01/07

12月14日(土)、21日(土)に、長良川大学・朗読教室「なみ悟朗さんと楽しく朗読しよう!」を
開催しました。講師には、昨年に引き続き、劇団はぐるまでご活躍されているなみ悟朗さんをお招きしました。
なみ悟朗さん.JPG

今回朗読したのは、工藤直子さんの童話『ともだちは緑のにおい』(理論社、1988年)より、
「朝の光のなかで」、「おでこ」、「風になる」です。
1回目は、まず、体のストレッチをしたり、「発声」の仕組みについて改めて考えてみたり。
朗読をするための基礎について教えていただきました。
2回目は、本文を数行ずつ声に出して読み、なみさんにどうしたらより良い朗読になるかを1人ずつ指導していただきました。

全体.JPG

なみさんが今回の朗読教室で何度も仰っていたのは、「朗読は"イメージすること"が大事」ということです。「この物語の舞台はどんな場所?」「自分が登場人物だったらどのようにこのセリフを言うだろう?」など、常にイメージしながら読むことが朗読の第一歩なのだそう。
朗読とは、ただ文章を読めばいいのではなく、物語の世界を理解して、自分なりに表現することが大切なのだと改めて感じました。
今回参加していただいた方の中には、普段から朗読や読み聞かせをしている方や、朗読は初心者の方もいらっしゃいましたが、みなさん楽しそうに朗読に挑戦してくださっていたのが印象的でした。
参加してくださった皆さん、講師のなみさん、本当にありがとうございました!


















おとなの夜学 第52夜「長良川アンデパンダンが岐阜に残したもの 岐阜で興った現代アートの系譜」を開催しました

ブログ2025/01/21

 第10期2回目の夜学を令和6年12月13日に開催しました。中部地域の戦後前衛美術やアートプロジェクト等の調査・研究をしている高橋さんと、アーティスト集団「幻想工房」結成し「場所」をキーワードにアート活動する野村さんが、岐阜で芽吹いた前衛芸術の軌跡に注目します。

「アンデパンダン」(independant)とは「自主的な、自立した、独立した」意のフランス語。アートの世界では無審査・無賞で誰でも参加できる展覧会を指し、保守・伝統的なサロンに対抗して開催された落選者展が起源といわれています。
 無審査なので出展者が「表現の自由」を体現できるということから、若者たちを中心に多くの美術グループが興り、昭和22(1947)年に日本ではじめて「日本アンデパンダン展」(日本美術会主催)が、その後「読売アンデパンダン展」(読売新聞社主催)も開かれました。しかし回を重ねるごとに作品が過激さを増し、収集がつかなくなり中止を余儀なくされます。

 これを機に東京中心だった展覧会を地方でも!という機運が高まり、岐阜では西尾一三、石原ミチオらが中心にVAVAという前衛芸術団体をつくり、「岐阜アンデパンダン」を自主展覧会として計画しました。
 VAVAのメンバーは医者や公務員などで構成されていたことからスポンサー集めや会場使用の交渉、参加者へのケアなどをメンバーが得意を活かしてマネジメントをしました。政治・経済・民衆と芸術と場所がそれぞれうまく融合できていたことからまさに「共存と受容の思考」が体現された展覧会だったと高橋さんは指摘しています。 
 全国から「無審査」で多くの参加者が集い、長良川河畔や金公園、市民センターなどを会場に思い思いの前衛芸術を体現し楽しむ姿がありました。

 保守が強いといわれる岐阜で前衛芸術の祭典が開催されていたこと、それをおおらかに見守る岐阜人の懐の深さは、いまも新しいことに挑戦しやすい土壌に受け継がれていることにうれしさを感じる夜でした。

 後日おとなの夜学ホームページにてイベントの様子を記録した動画がアップ予定です。気になる方はぜひ動画をチェックしてみてくださいね。
おとなの夜学Youtubeページ(別のページに移動します)

yagaku_20241213_andepandan.jpeg


人権イベント「正しく知ろう、ヘルプマークのこと」を開催しました!

ブログ2025/02/05

 令和7年1月26日(日)に、ぎふメディアコスモス1階のかんがえるスタジオにて、今年度の人権イベント「正しく知ろう、ヘルプマークのこと」を開催しました。講師に岐阜市障害者生活支援センター相談支援専門員の中村菜穂子さんをお招きし、見た目では分からない障がいと必要な配慮についてお話ししていただきました。

人権1.jpg
 
 みなさんも商業施設や電車内などでヘルプマークを見かけることがあると思います。ヘルプマークは障がいがあることを示し、緊急時の対応方法や連絡先等を周囲に伝えることが出来るため、見た目では分からない障がいがある方にとって安心できるアイテムです。その一方で、ヘルプマークの存在は知っていても、見かけた際にどうすればよいのか分からない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。中村さんは今回の講演で、ヘルプマークは周囲に援助や配慮が必要であることを知らせるためのマークであり、見かけたら必ず助けなければいけないのではなく、助けを求められたとき、何か困っている様子だったときに手を差し伸べる気持ちを持つことが大切であると語られました。

 そのほかにも、中村さん自身の下肢障がいの困りごとや車いす生活での不便さについて、写真を用いながら様々な想いを伝えてくださいました。また、講演会の最後には障がいをサポートする自助具の紹介もしていただき、大変有意義な時間となりました。

人権2.jpg

 参加者の皆さんは質問をしたりメモを取るなど、熱心に耳を傾けていらっしゃいました。障がいの不便さや困りごとへの理解を深め、ヘルプマークに対する認識を改める良い機会となりました。


暮らすように「すき」を楽しむ

ブログ2025/02/09

 1月25日(土)、みんなのホールにて文筆家の甲斐みのりさんをゲストにお招きして読書推進トークイベント『暮らすように「すき」を楽しむ』を開催しました。
 甲斐みのりさんは、日々、土地に根付くチャーミングな文化にときめき、『好き』を楽しみながら旅、散歩、お菓子、建築など様々なジャンルで執筆活動をされています。

 ご両親が俳人で、子供のころ、お休みの日は家族で野山に出かけ俳句を詠まれる傍らでいつも図書館の本を読んでいました。ご両親からは感受性を大切に、失敗も経験することで価値を見出せるからまずは一度体験してみなさいといつも言われていたそうです。
 そんな甲斐さんの最初の大きな挫折は大学生の時。自分と他人を比べ、自分は何もできていないと暗い気持ちでいたなかで、状況を変えるために始めたのが「好きノート」だそうです。このノートいっぱいの「すき」を集められたら、自分を変えられる、と暗示をかけ、ことばで「すき」をコレクションしていきました。にこにこと、楽しそうにすきなものに囲まれた暮らしについてお話しされる甲斐さん。いまでは悲しい時、寂しい時、孤独な時、いつもたくさんの好きなものが自分を支えてくれていると語る言葉が印象的で、会場にも終始あたたかい空気が流れていました。

甲斐みのり2.JPG

「壁に抱きつきたいくらい好きな市民会館のタイル」「6時50分というオープン時間だけでもうときめくサカエパン」など岐阜のまちの「すき」もたくさん紹介してくださいました。『すきスイッチ』を押すといつもの街並みが輪郭を持ち、色づくように感じるそうです。ついつい日々の「やらねばならないこと」に忙殺され、余裕がなくなってしまう毎日ですが、「どんなところにも"好き"はある!」そう思うと今までよりも自分の暮らしを楽しめるような気がして、心が温かくなった時間でした。

甲斐みのり3.JPG


長良川大学講座「読み聞かせ教室」を開催しました!

ブログ2025/02/14

 1月22日(水)と1月29日(水)に、長良川大学講座「読み聞かせ教室」を開催しました。ご家庭での読み聞かせについて学びたい保護者の方とお子さんのペアでご参加いただく本講座。講師としてお招きしたのは、東海学院大学短期大学部教授・杉山喜美恵先生です。
 第一回は、講義形式で先生のお話を伺い、ご家庭での読み聞かせについて学びました。まずは先生から参加者の皆さまへの自己紹介。「はじめまして」という大型絵本を読み聞かせてくださり、和やかな雰囲気でスタートしました。続いて、参加者の方の自己紹介。「自分でアレンジをして読んでも良いのか」「年齢に合っていない本を読んでいても良いのか」、「おすすめの絵本が知りたい」等々、悩んでいることをたくさん発言されました。先生は、「ご家庭での読み聞かせは、自由に、楽しむことを大切にしてください」ということを強調され、その上で、読み聞かせではぐくまれるもの、発達や月齢ごとにおすすめの絵本をたくさんご紹介されました。最後は、「だっこのおにぎり」という絵本を読み聞かせ。お子さんをおにぎりに見立てて、親子でふれあいながら絵本を楽しんでおられました。

1.22①.JPG

 第二回は、読み聞かせの実践を行いました。第一回講座時にご記入頂いたお子さんの「絵本カルテ」(お子さんの好きな食べ物や最近読んだ絵本を書いていただいたもの)を元に、先生と司書で選んだ図書館の本を5冊ほどお渡しし、その場でお子さんに読んで頂きました。その間、先生や司書は会場内を回り、アドバイスをしたり読み聞かせをしたりしました。また、お渡しした絵本の他にも、先生ご持参の絵本や図書館のおすすめ絵本がずらりと並び、参加者の皆さまがいろいろな絵本と出会う機会となりました。何度も「これがいい!」と同じ絵本を読んでもらったり、講座後に図書館の本を借りていったり...。お気に入りや気になる絵本を見つけていただけたようで、嬉しく感じました。
1.29③.JPG
 講座後のアンケートでは、「子どもが本をなめるので少し本から遠ざかっていたが、一冊読み切らなくていい、途中で本を集中できなくてもいいと言ってもらえてハードルが下がったので、またたくさん読もうと思いました!」、「つい忘れてしまう『本を読むのは楽しいこと』を再認識できてよかった」、「気に入る本が見つかってよかった」等のご感想を頂きました。一司書としても、参加者の皆さまとのやりとりや先生のお話を通して学ぶことは多くあり、とても勉強になりました。
 参加者の皆さまには、先生がおっしゃった、「楽しい絵本ライフを送ってください。」の言葉の通り、自由に楽しく、ご家庭での読み聞かせを楽しんで頂けることを願っています。図書館には、新旧問わず、たくさんの本がありますので、ぜひまたお越しくださいね。講師を務めて頂いた杉山先生、参加者の皆さま、ありがとうございました。


おとなの夜学 第53夜「躍進日本大博覧会から岐阜公園の未来まで 民間主役の岐阜公園開発史」を開催しました

ブログ2025/02/15

おとなの夜学 第53夜「躍進日本大博覧会から岐阜公園の未来まで 民間主役の岐阜公園開発史」を開催しました

 第10期3回目の夜学を令和7年1月22日に開催しました。金華山のお膝元にある岐阜公園は市民の憩いの場として親しまれていますが、この場所がたどってきた歴史についてみなさんはご存じでしょうか? 知られざる岐阜公園の物語を、林リウイチさん(アーティスト)と、出村嘉史さん(岐阜大学社会システム経営学環 教授)がそれぞれの視点から紐解いていきます。

 林さんは、古書店で「躍進日本大博覧会」のパンフレットを偶然見つけました。鵜をモチーフにした前衛的なデザインに戦前の日本の高い芸術性に驚き惹かれた林さんは、この博覧会のことをもっと知りたくなり、図書館などで昔の新聞記事を集め、記事のスクラップを時系列データベース化しました。
 この博覧会は昭和11年に近代科学と地域振興を図るために開催され、岐阜公園を含む長良川畔周辺を会場に大々的に開催されました。新聞記事からは、台湾館の目玉として輸入した台湾リスの脱走や、当時の岐阜市長・松尾国松が会場内で迷子になり放送で呼び出されたことなど、くすっと笑える風刺と愛嬌たっぷりの記事からは当時の風俗や大らかな気風などが立体的に伝わってきます。

 では舞台となった岐阜公園はどのように形成されていったのでしょうか。都市形成史のスペシャリスト・出村さんは、岐阜公園は当時のまちづくりの考え方を「鏡」のようによく映していると言います。
 日本では明治時代に入り、欧米都市が有していた「公園」という施設を明治政府が導入することを計画し、明治6 (1873)年に太政官(当時の最高官庁) から布達が出されました。岐阜県では明治6年に高山市の高山公園 (現・城山公園)、続いて明治15年に岐阜公園、大垣公園ができました。
 岐阜公園の開墾は、費用は周辺の町から用立てし、作業は土木技術を持つ岐阜県が出張し官民連携して作っていきました。民間が発注して県が開墾する。この図式は近代岐阜のまちづくりの特徴で、おとなの夜学第47夜「その時岐阜が動いた」にも町衆と行政の関係が登場しましたよね。(ぜひブックレット16号で)
 近代岐阜のまちづくりでは行政と町衆がタッグを組み官民懇親会を結成して、力を合わせて「岐阜」というまちを作っていったことが、地図や新聞記事、資料から読み解くことができると、出村さんは語ります。

 明治以降の岐阜のまちづくりについては話が尽きず、第2弾開催を心待ちにする夜となりました。

 イベントの様子を記録した動画がおとなの夜学ホームページから見られます。気になる方はぜひ動画をチェックしてみてくださいね。
おとなの夜学Youtubeページ(別のページに移動します)


みんなのLIVEラリー 読んで、奏でて、生きてきた。

ブログ2025/02/17

 岐阜市立中央図書館には、「岐阜で豊かに暮らすために」をコンセプトとするシビックプライドライブラリーというスペースがあります。ここにはそのヒントとなる本が置いてある本棚があり、企画展示やイベントなどを実施してきました。

 昨年からこのシビックプライドライブラリーで始まったイベント「みんなのLIVEラリー」。岐阜で豊かに生きるって、どういうこと?わからないなりにそれぞれの暮らしの中で、ひとりひとりが探してきた"豊かさ"。岐阜で生きる「ひと」をゲストにお招きし、その方の人生をひもときながら十人十色、ひとそれぞれの"生き様"を交わしあうようなトークイベントです。今年もお二人のゲストをお招きしてイベントを行いました。

 2月1日に実施したのは『読んで、奏でて、生きてきた。』。各務原市出身のヴァイオリニストの平光真彌さんがご自身に影響を与えた本にまつわるトークと演奏を聞かせてくださいました。お父様も音楽家で、4歳からヴァイオリンを習っていましたが、もともとは海洋生物学者になりたかったそうです。本もよく読まれるそうで、名ヴァイオリニストの半生を描いた『魂と弦』やベートーヴェンの『音楽ノート』など当日はご自身の本を何冊かもってきて、トークの中で紹介してくださいました。  

 また、平光さんは楽譜についている作曲家の解説を読むのが好きだそうです。同じ和音を使っていても作曲家によって見えている色や景色が異なり、その曲が楽譜に至るまでの経緯や作曲家の思いを知ることで、よりリアリティをもって演奏できるそうで、音楽家という普段の生活で出会えない人のお話通じてを新たな世界を垣間見た気がしました。

 トークの後はピアニストの五島史誉さんも加わってのミニ演奏会。アンコールも含め7曲も演奏してくださいました。図書館という本に囲まれた空間で聴くクラシックは格別で、イベント参加者だけでなく、たまたま図書館を訪れた方も含めてたくさんの方が集まってくださり、美しい演奏を楽しみました。解説を聴いてから演奏を聴くと、また違った景色が見えるような気がしましたよ。シビックプライドライブラリーに集まった人たちと素敵な音楽を共有できた、唯一無二の時間でした。
ライブラリー音楽1.jpg

ライブラリー音楽2.jpg


みんなのLIVEラリー 私が作る、わたしの「    」。

ブログ2025/02/21

 2月11日に実施したのはみんなのLIVEラリーの2回目、『私がつくる わたしの「  」。』。
「    」のなかには、これからこのイベントにゲストで来てくださる方それぞれが岐阜の地で築き上げてきた、その人だけの「なにか」が入ればと思いを込めてこのタイトルを付けました。

 今回はゲストに警察官を10年務めた後に寺の住職になるという異色の経歴を持つ護国之寺の廣瀨良倫さんをお迎えし、ご自身の半生とコロナ禍以降のライフワークでもある長良の郷土史コラム編集についてお話しいただきました。

 生まれも育ちも岐阜市長良だという廣瀨さん。交番勤務など警察官として10年務められた後、実家がお寺の奥様と中学の同窓会で再会したことをきっかけに婿養子となり護国之寺の住職となることを決意されました。37歳の時に高野山での1年間の修業を経て住職になった頃のお話では、完全に外の情報をシャットアウトして行う修業や1日1000回3日間やりつづけるという投地礼という修業のこと、1日10時間以上の正座が大変だったことなどユーモアを交えて語ってくださいました。普段は聞く機会がないお寺の修行のお話を参加者の方も興味深そうに聞いていました。
ライブラリー住職1.jpg

 また、後半は廣瀨さんが聞き書きされた郷土史のコラムの中から、松尾芭蕉の『奥の細道』に関するお話を伺いました。掲載されている62の俳句のうち、1句が長良で米屋を営む低耳(ていじ)という人物の詠んだ句なのだそうです。誰もが知るあの有名な『奥の細道』が、一気に身近に感じる!という廣瀨さんの言葉に参加者も大きくうなずく姿が見られました。

 岐阜は何にもないとよく言われるけれども調べていくと"いいな"と思うことがたくさんあるんですよね、と楽しそうに語られる姿が印象的でした。この郷土史コラム、4年ほどかけて200項目近く書かれたそうですが、今後も増やしていくそうですよ。生き生きと語られる今まで知らなかった岐阜の姿、そしてそこで生きる人のお話は聞いていてとても新鮮で、たくさんの新発見があった時間でした。

ライブラリー住職2.jpg


YAのYAなカンジ!?

ブログ2025/03/12

YAのYAなカンジ!?

毎月8日更新のYAブログ【YAなカンジ!?】

あけましておめでとうございます。今年もYAをよろしくお願いいたします。
ところで、新年明けると清々しい気持ちになるのはなぜなんでしょうか。
少しでもその清らかさが続くよう、今年も健やかに過ごせたらいいですね。


新規ボランティア説明会を開催しました!

ブログ2025/03/16

 2月15日(土)と19日(水)に、ぎふメディアコスモス1階あつまるスタジオで、令和7年4月からボランティア活動をされる皆さんに向けて説明会を行いました。今回は45名の方が参加されました。

 まずは、岐阜市立図書館がどんなところかを知ってもらいたいと思い、地図やイラストを使って、蔵書数、貸出冊数などの数字に関わることから、ボランティア活動の歩みなどを説明しました。ボランティアの種類は様々なため、自分の活動以外にも興味をもっていただけたらいいなと思い、それぞれのボランティアの活動内容について簡単に紹介しました。

新規ボラ説明会ブログ1.jpg

 次に、これから一緒に活動していくボランティア同士の交流を深めるために、
「もし私が図書館長になったら○○をしたい」というテーマで、自由に考えた公約(素敵な野望?)を皆さんから発表していただきました。素敵な野望の一部を紹介します。

 ☆図書館でお泊り会
 ☆図書館で金婚式・銀婚式
 ☆好きな本と料理をもちよってランチパーティー

こんな感じです。みなさんの自由な発想が楽しかったです。

新規ボラ説明会ブログ2.jpg

 4月からの活動よろしくお願いします。いっしょにより良い図書館をつくっていきましょう!


おとなの夜学 第54夜「東海をめぐる発酵ツーリズム 尾張徳川家の誇り・知多半田の酒と長良川の鮎寿司」を開催しました

ブログ2025/03/29

おとなの夜学 第54夜「東海をめぐる発酵ツーリズム 尾張徳川家の誇り・知多半田の酒と長良川の鮎寿司」を開催しました

 第10期4回目の夜学を令和7年2月20日に開催しました。ここ数年、ヨーグルトや納豆といった発酵食品が注目を集め、メディアでもよく特集が組まれています。また、今年5月には東海3県地域の発酵文化を紹介する企画『発酵ツーリズム in 東海』が、ぎふメディアコスモスをメイン会場に開催予定です。今回は、東海地域の発酵文化について2人のエキスパートをゲストに招き、お話いただきました。

 赤野さんは食酢の歴史と、日本でどのようにお酢が使われてきたのかを製法や郷土料理から解説しました。お酢はお酒を酢酸発酵させた発酵食品なのをご存じでしたか? 江戸時代、知多半田の造り酒屋だったMizkanの初代・中埜又左衛門は、製造過程でできる酒粕を原料にした粕酢を製造し江戸で販売しました。当時は屋台のにぎりずしが大ブーム! 粕酢は江戸のすし文化を支える、なくてはならない食材となりました。
 おすしは土地に根付く郷土食でもあります。岐阜には「ねずし」「みょうがすし」「ほう葉すし」など独特の素材や作り方のすしが多くあります。しかし近年は生活様式の変化や後継者不足により消滅の危機に瀕しているそう。レシピを次世代へバトンをつなぎたいと赤野さんは言います。

 小倉さんは全国の様々なローカルの発酵文化を調査・体系化しています。東海のすしと酒の特徴について紹介してくださいました。関東と関西のアイダにある東海地域は、東西にはないニッチな味を狙って酒を造ってきました。日本酒は晩酌の酒、土地の味に合わせて酒の風味も異なります。愛知(澤田酒造)・三重(元坂酒造)・岐阜(達磨正宗)の3つの日本酒蔵それぞれの個性と特徴を例に、土地が醸す味覚・産業・文化がこのエリアならではの独特さを持つものの、各地の連携が弱いことがツーリズムの課題であると語ります。

 東海の味の特徴は甘味が強いこと。昔は限られた食材の中で甘味・酸味・うま味を重ねて「足し算」することが美味しくする方法だったのでは? と小倉さんは推測します。味のルーツを掘り下げ再解釈していくことは、今後の地域資源の再評価につながるのではないかと考えています。

 「発酵」を通じて風土が醸してきた食材、気候、文化、そして人と菌が織りなし育んできたつながりを、次の世代へつないでいく大切さを教えてくれた夜でした。

 イベントの様子を記録した動画がおとなの夜学ホームページから見られます。気になる方はぜひ動画をチェックしてみてくださいね。
おとなの夜学Youtubeページ(別のページに移動します)


自分史講座を開催しました

ブログ2025/03/31

2025313日(木)、14日(金)午前10時より、
自分史活用アドバイザーの武山康弘氏をお招きし「自分史講座」を開催いたしました。

参加者同士の自己紹介から始まり、持参していただいた写真を見ながら記憶を呼び起こし、
ペアになって気になった部分は質問し合ったりと、和やかな雰囲気で進んでいきました。
その後、写真をもとに自分史を執筆し、1日目を終えました。

自分史講座1.jpg
2日目は、文章に深みを持たせるため、
写真の時代背景を調べようと図書館が所蔵する過去の新聞を活用しました。

自分史講座2.jpg

皆さんとても熱心で、時間いっぱいまで講師への質問も多く飛び交いました。
今回の講座は入門編でしたが、今後ご自身で自分史を執筆していくために必要な手順や考え方を
得ていただけたのではないでしょうか。
今後も図書館を活用し、ぜひ自分史を完成させていただきたいと思います。